2025年1月19日放送のフジテレビの情報番組「ワイドナショー」では、タレントで俳優の中居正広さんの女性トラブルへの関与が指摘されているフジテレビが行った記者会見の話題を約5分間に渡って特集した。
放送タイトルは「中居氏の一連の報道受けフジテレビ港社長が会見」
中居さんをめぐっては、トラブルが24年末に女性セブンや週刊文春で報じられ、25年に入っても続報が相次ぐと、テレビなどのレギュラー番組が次々に差し替えや放送休止になった。
2025年1月9日には、自身の公式サイトでお知らせを出し、トラブルを事実と認めた。公開した書面では「このトラブルについては、当事者以外の者の関与といった事実はございません」と説明していた一方で、複数報道ではトラブルに際し、フジテレビ局員の関与があったとしていた。
17日には中居さんのトラブルにフジテレビ幹部が関与していたのではないかという報道について、フジテレビは臨時の定例会見を開いた。もっとも、港浩一社長の釈明は「回答を控えたい」「調査委員会に調査してもらう」「守秘義務」など要領を得ないものだった。
こうした中、「ワイドナショー」では、フジテレビによる会見を特集した。民放テレビ局が提供するテレビ番組のストリーミングサービス「Tver」に登録された同日の放送タイトルは「中居氏の一連の報道受けフジテレビ港社長が会見」となっている。
フジテレビ社員の関与「調査委員会の調査に委ねたい」
番組冒頭は和やかな会話を交わしていたが、VTRに切り替わると中居さんの話題へ。フジテレビ社屋を背景に、テロップで「中居氏の女性トラブル一連の報道 フジテレビ社長 調査委設置へ」と書かれた画面が表示される中、港氏による会見についてナレーションベースで伝えた。
会見中の港氏の写真を背景に「視聴者の皆さまをはじめ、関係者の皆さまに多大なご迷惑、ご心配をおかけしていること、現在まで弊社から説明ができていなかったことについておわび申し上げます」とした。
また、トラブルについては社内での確認を進めてきたとした上で、「第三者の視点を入れて、改めて調査を行う必要があるとして、第三者の弁護士を中心とする調査委員会を立ち上げることを明らかにしました。結果については、『まとまり次第速やかに公表する』としています」という。
これまで否定してきたフジテレビ社員の関与については、「調査委員会の調査に委ねたい」としている。
「今僕らは本当に何があったとかっていうの、全くわからない」
MCの東野幸治さんは、調査委員会の設置について、ゲストのヒロミさんにコメントを求めた。ヒロミさんはこう話した。
「これ(調査委員会の設置)はもう本当にそうした方がいいと思いますし、会社としても多分徹底的にやるでしょうし。僕らもフジテレビでもお仕事もしてますし、長年付き合いもあるので、そういうことがどうだったんだっていうのは調べた方がいいと思います」
続けて、「今僕らは本当に何があったとかっていうの、全くわからないです、本当に」と強調した上で、「なので、そのへんのところはフジテレビさんはフジテレビさんで、そういうもの(調査委員会)に委ねて。我々は待つしかない」とした。
コメンテーターの今田耕司さんは「守秘義務があって、真実を知ることはできないじゃないですか。憶測が憶測を呼んで、SNSなんか憶測だらけになっていて......。あくまでも想像に想像を被して、だから」と過熱するネット上の憶測について触れた。
「早めにきっちりと第三者の人に入ってもらって、『こういうことでした』っていうところをはっきりさせれば一番いいんじゃないかなと思います」
「調査を全て終えても、何が真実かわからないということもある」
国際弁護士の清原博氏は、「第三者委員会を立ち上げるというのは一歩前進だと思うけれども。ただ、世間の人たちに知ってほしいのは、第三者委員会の調査にも限界があるっていうことなんですよね」と説明した。
「(調査するのは)警察じゃないんですよ、弁護士なんですよ。だから、当事者に話を聞いても、当事者が例えば『守秘義務があるから話せません』とか。あるいは『もうあの件は話したくないんです。もう心辛いんです』って言われたらですね、弁護士としてはこれ以上聞けないということ。だから第三者委員会の調査を全て終えても、果たして何が真実かわからないということもある」
ゲストのジャーナリスト・岩田明子氏は、「今回ね、記者会見があのかなり制約があったような......。中継もなかったし、配信もないということで」と、会見に出席できるメディアが記者クラブ加盟社に限定されたことに言及した。
「私が記者として感じるのは、総理官邸ですとか官房長官とか大臣とか、こういう人たち(の会見)も前は記者クラブに所属していた人たちだけだったんですけど、だんだん事前に申請をしてちゃんとチェックをして、参加できる人の幅を広げてきましたので。キャパシティーの問題があったのかもしれませんけど、広く聞きたい人が質問できる、という態勢はもうちょっと検討する必要があるとは感じました」
本件をめぐる特集は5分ほどで、CMを挟んだ後は別のニュースに切り替わった。
SNSでは「ワイドナショー」がトレンド入りした。とりわけ、特集が冒頭の5分間だけだったことについて「自局でどんな風に取り上げるのかと思ったら、『わかりません』『事態の推移を見守る』などの消極的な通り一遍の上面をなぞっただけの陳腐な内容、それも5分ほどの内容だった。ここまで言われてもそれだけかよ・・」「他の不祥事には好き勝手くだらないコメントで盛り上がってたくせに、自分たちの不祥事には、このザマかよ」などとする不満の声も多い。