誰を「アルムナイ」に参加させるのか?
一般的な知名度の低さとは別に、一部の大手企業ではアルムナイのネットワーク化に取り組み始めている。
みずほフィナンシャルグループでは、2020年に独自のアルムナイネットワークを設立し、専用SNSに産業調査レポートやアルムナイへのインタビュー記事を掲載している。トヨタ自動車では2022年に、パナソニックグループでは2024年に、それぞれアルムナイネットワークの運用を始めたということだ。
Aさんは、アルムナイネットワークの重要性や取り組みの遅れを指摘しつつ、日本企業が成功するためのノウハウをこれから積み重ねる必要があるという。
「例えば、誰をアルムナイネットワークに参加させるのか、全員でいいのか、という問題があります。勤続年数や退職理由、退職時の評価などを基準に、参加の可否を決めることが考えられますが、こういう選択と排除は日本人は苦手ですよね」
理想としては、どういう人がアルムナイネットワークに参加できるのかを在職中から知らされていて、退職時にネットワークへの登録を案内できる状態が望ましいが、それには労使関係が良好な状態で退職する必要がある。
Aさんは「となると、やはり『中途退職者は裏切り者』という社内風土が最終的なボトルネックになりそうですね」と懸念する。