タレントの松本明子さんが実家の後片付けが大変だったという話をメディアなどで話している。両親の死後、空き家になった実家を25年にわたって維持し、1800万円を超える赤字を出してしまった。実家は整理をしていなかったため、物が大量にあふれており、片付けを始めると思い出に浸ってしまい進まず、時間がかかったという。
関心は高くても話し合いが難しい
遺品整理は多くの人の関心事として広がっており、「生前整理普及協会」という団体も発足している。
LIFULLの子会社、LIFULL senior(東京都千代田区)は、遺品整理の経験者294人を対象に実施した「親との片付けにまつわるコミュニケーション」に関する調査を25年1月8日に公開している。それによると、「生前の親と家の片付けに関するコミュニケーションを取った際の困難や障害の有無」との項目で61.2%が何かしらの困難や障害を感じていると答えている。また、23.1%の人は生前に親と片付けに関する話し合いを全くしていなかったという。
2025年1月2日放送のラジオ番組「森永卓郎と森永康平の親子経済学」(文化放送)では、経済アナリスト森永卓郎氏が昨夏に金融資産を生前整理したと明かして話題になっている。筆者自身も経験した。2024年12月に祖母が亡くなった。
葬儀の翌日から含めた家族3~4人で休みの日の多くを整理の時間に充てているが、あまりにも物が多すぎる。生前、近くの百貨店で買い物をすることが何よりの楽しみにしていた人だった。その買い物のせいで、亡くなってから遺族に困難が待ち受けていた。
大切なのは「今やろう!」の意識
家族は生前に祖母の部屋を整理しようと何度も試みた。しかし、祖母が嫌がり、掃除をしても捨てたはずの洋服や書類をゴミ袋から掘り返してしまう。家族と喧嘩が始まってしまい、何も進まない。話し合いをしても、「嫌だ」の一点張りだった。結局、亡くなってからの整理になってしまった。
国民生活センターが発行するウェブ版「国民生活」21年11月号でも、「今から始める生前整理」という特集が組んでいる。
「生前整理のポイントは『いつかやろう』を『今やろう!』にするということです」
ずばり、そうだと思う。親と片付けの話をするのも面倒。整理そのものも面倒。だからといって後回しにしていると、突然、その時がやって来て苦労をする。
(リサーチ班 大山雄也)