「次回から盲導犬は外に」――。スーパー店員から盲導犬の同伴を拒否されたというエピソードを紹介した投稿が、2025年1月中旬にSNSで話題になった。だが、飲食店や小売店などに盲導犬を同伴することは、法的な権利として認められている。
日本盲導犬協会の調査によれば、23年の1年間では、盲導犬利用者の44%が受け入れ拒否にあっている。協会の担当者は25年1月16日、「法律の周知が急務であるほか、犬に対するユーザーの管理義務やそのスキルを理解してもらうことが必要だと考えています」と取材に説明した。
盲学校近くのコンビニを利用した際に拒否されたケースも
先述したXの投稿は、1月16日時点で2万8000件以上のリポスト(リツイート)を集めるなど話題に。だが、盲導犬の受け入れ拒否は珍しいことではない。日本盲導犬協会の公式サイトでは、飲食店や小売店、宿泊施設、病院でのさまざまな事例を紹介している。
例えば、次のようなエピソードを紹介している。盲学校近くのコンビニを利用した際、盲導犬を同伴しながら入店すると、店員からは「犬は困る」と言われた。これに対し、「盲導犬ですよ」と説明しても理解してもらえず、副店長からも同様に拒否されたという。
日本盲導犬協会は、盲導犬の受け入れ拒否の実態を16年から毎年調査している。24年3月に発表したデータによれば、盲導犬利用者の103人(44%)が23年の1年間で受け入れ拒否にあった。23年1月~12月、協会に所属する利用者237人に聞き取ったものだ。
だが、盲導犬の同伴は法的な権利として認められている。03年10月施行の「身体障害者補助犬法」では、受け入れを拒否してはいけないと明記されている。また、16年4月施行の「障害者差別解消法」でも、同伴が権利として認められている。
「受け入れ拒否が起きている実態は問題」
協会の担当者は25年1月16日、協会所属の利用者の説明では理解が得られず、利用者の要請に応じて協会が問題解決に向けて対応したケースもあると、J-CASTニュースの取材に話す。
協会が24年12月に発表したものでは、事業所で働く従業員の意識調査を実施。24年8月28日~9月2日、全国の事業所で働く男女20~79歳の975人から有効回答を得た。その結果、従業員の約7割が「身体障害者補助犬法」を知らないと回答した。
さらに、約4割が盲導犬同伴の受け入れを躊躇していた。また、同伴での入店を「受け入れない」という背景には、「施設を汚す」「他のお客様の邪魔になる」などの盲導犬に対する負のイメージや不安を抱える人が一定数いたという。
担当者は、「受け入れ拒否が起きている実態は問題だと感じています。事業者の不安を解消するためには、法律の周知が急務であるほか、犬に対するユーザーの管理義務やそのスキルを理解してもらうことが必要だと考えています」と説明している。