「管理職になってよかった感」に年収が大きく関連
――なるほど。課長が一番大変かもしれませんね。ところで、管理職になってよかった人という年収の中央値が700万円なのに比べ、よくなかった人という人の年収は550万円です。やはり年収の差も大きいということですか。
瀧川さおりさん 「管理職になってよかった感」に年収が大きく関連していることは充分考えられます。「働きと給与が見合っているか」という問いに対し、見合っていると回答した人は、部長職は約半数ですが、次長・課長は4割、係長とチーム長は3割に留まります。
また、管理職になると残業代がつかなくなり、管理職手当がついても総年収があまり増えないケースもあります。役割やストレスが増える代わりに、せめて年収が見合っていれば報われるのに、という切実な気持ちを抱える人もいると考えられます。
――管理職になって「心身の健康が損なわれた」という人が多いのは、悲しくなりますね。それでも管理職になってよかったと思う人のほうが多いのはなぜですか。
瀧川さおりさん 「今後の昇格」の問いで「管理職を辞めたい」と回答した人が、次長・課長・係長の層では各2割前後います。また、先ほど述べましたが、部長・本部長はさまざまなキャリアの選択肢のなかから、その企業での昇進を望み、認められてきた人であると考えられます。
回答者の性質上、管理職に向いている人が集まりやすいことを踏まえると、初めて管理職になった係長レベルでは「管理職になってよかった」と感じる人、感じない人がほぼ半々という結果が、リアルな温度感かもしれません。
もっとも、管理職を続けていくうちに自分で成果を出すことより、部下の成長が喜びになるなど、考え方が変わっていく方もいます。
――中間管理職の多くが「プレイングマネジャー」になっており、業務負担が多すぎるばかりか、部下の育成・教育やパワハラなど難しい問題を一手に背負わされています。
瀧川さおりさん たしかに現在の職務を聞くと、「自身もプレーヤーとして成果をあげる」と回答した人が係長レベルだと約半数。「上司の補佐」も、比較的ロワーマネジメント層が高い傾向が見られ、求められることの多さに負担を感じている人は少なくないと考えられます。
コメントにも「担当外でも何でも仕事を振られる」「自分の仕事が進まない」「責任と、個人の目標が増えて残業が大幅に増えた」と、苦労がうかがえるものが多く見られました。