2月14日はバレンタインデー。かつて職場では女性会社員が男性上司や社員に「義理チョコ」を配る習慣が広く見られた。
それが現在、頑張る自分への「ご褒美チョコ」や、「チョコ好きの女性たち祭典」に変化している。いったい、何が起こったのだろうか。
女性のキャリアの変化が、チョコの贈答行為の変化に表れているという報告をまとめたニッセイ基礎研究所の坊美生子さんに、チョコレート1個の中に込められた働く女性の思いを聞いた。
OLパワー炸裂、痛快な0L復讐ドラマ「ショムニ」の人気ぶり
<「義理チョコ」から「チョコ好き女性の祭典」へ バレンタインの変化に見る女性キャリアの光と影(1)>の続きです。
――たしかに、OLたちの「情報戦」によって男性上司が不遇になる例は私もいくつか聞きました。OLパワーのスゴさの例は、TVドラマでもありましたね。1990年代後半にヒットした「ショムニ」(江角マキコ、戸田菜穂、宝生舞、京野ことみさんら出演)は、「OLの掃き溜め」と呼ばれる部署(人事部庶務二課)が舞台。
くせ者ぞろいの6人のOLが、OL情報網を駆使して社内の情けない男たちに鉄槌を下す痛快なストーリー。毎回、上司らに啖呵を切る「ショムニ名言録」が女性たちをしびれさせました。「社員を監視して油をしぼるなら、まず自分から油をしぼるんだね! それが上に立つヤツの道理ってもんだよ!」「自分のご主人様は自分でしかないんだよ。しょせん、番犬は野生のオオカミには勝てないってこと!」。
そんなショムニたちの敵になったり、味方になったりするのが各部署の「お局様」たち。彼女たちに「女は安住したらおしまい、戦(たたか)ってこそ現役だよ!」なんて喝を入れられたりする一方、役員の重大不祥事情報を提供したりして。
坊美生子さん しかし、女性のキャリアの観点で重要な点は、「お局様」自身は、それで給料や地位が上がるわけではありません。特定部署で皆が気を遣う「怖い」存在ではあっても、組織で高い地位に就く「強い」存在にはなり得ないのです。その意味では「弱者」であることには変わりありません。
かつて、「お局様」を中心としたOLたちが情報網を駆使したり、バレンタインデーの義理チョコでうっぷんを晴らしたりして、男性社員に「復讐」したというのは半分事実であり、半分事実ではありません。