「義理チョコ」から「チョコ好き女性の祭典」へ バレンタインの変化に見る女性キャリアの光と影(1)/ニッセイ基礎研究所・坊美生子さん

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「ホワイトデーの3倍返し」を期待して、冷や汗をかいた!

   J‐CASTニュースBiz編集部は、ニッセイ基礎研究所の坊美生子さんに話を聞いた。

――坊美生子さんは、前職は新聞記者と聞いていますが、ご自身は職場の男性に義理チョコを贈った経験はあるのですか。

坊美生子さん あります。2002年に全国紙に入社して高松支局に配属されました。十数人いる職場で女性記者は私1人でした。まだ、バブル経済時の文化が残っていて、友人の母親から「義理チョコ、配ったほうがいいよ。私の夫も義理チョコ一杯もらって、ホワイトデーに3倍返ししなくてはならないから大変だとぼやいているから、お返しが期待できるよ」と言われました。

そこで、高松市のデパートで高級チョコを買い、十数人に配りました。新入社員の懐には厳しかったけど、割増したお返しをもらえるなら、やってみるかと。ですが、男性の先輩でお返しをくれたのはたった1人だけ(笑)。他の男性の上司や先輩からは「お返しを買うのを忘れた」というような説明さえない、完璧なスルー。

暗に「お前はチョコレートを買う暇があったら、もっと原稿を書け!」と言われているようで、冷や汗をかきました。でも、事前に相談できる先輩の女性記者もいなかったので。

――それは残念でしたね。

坊美生子さん でも、『OLたちの〈レジスタンス〉』が指摘しているように、「義理チョコ」習慣というは、職場ではスキルアップもキャリアアップもあまり期待されていないOLたちが、悪条件の中で、少しでも自分たちに有利な状況を作り出したり、あるいは、割増したお返しをもらって『得』をしたりするために、部署を挙げて仕掛けていた、年中行事だったのです。

新聞記者だった私は、いわゆるOLではなく、日々、OJTを受けて仕事の成果を求められていたわけですから、そもそも義理チョコで『仕掛け』をする立場ではなくて、職場でやるべきことは、本当に仕事だったのだと思います。そう思えば、当時の男性上司や先輩たちの冷たい反応は当然かも知れない。

当時の新聞社という業界が、「プレゼントをもらったらお返しする」というマナーに疎かったと思わなくもないけど(笑)、男性にも女性にも等しく成果を求めるという意味では男女平等だったとも言えますね。
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