東京都港区内の明治神宮外苑にある名所のイチョウ並木で、木の保護のため立ち入り禁止になっているロープ内に入って撮影する外国人観光客らがいたとして、その様子を撮影した動画がXで投稿され、話題になって拡散している。
インバウンド観光の増加で、一部外国人らのルール違反がまた露呈した形だ。その実情について、明治神宮外苑事務所などに取材した。
「何のためのロープ?考えなくても分かるでしょ」
外苑のイチョウ並木では、2024年も11~12月にイチョウが黄色く色づき、12月中旬には、葉が落ちて黄色いじゅうたんが根元付近に広がった。
そんな中で、お互いを撮影し合う外国人女性らの姿が見られた。
この時期にXで投稿された動画を見ると、イチョウの周りには、ロープが張られ、「イチョウ保護の為 立ち入り禁止」と日本語で表示された注意書きが掲示されている。
ところが、ロープの中では、外国人女性2人がスマホで自らの写真などを撮り、イチョウのじゅうたんで寝転ぶなどする別の女性2人もいた。この2人も、1人がイチョウを手に取って、もう1人がスマホで相手を撮影していた。
この15秒ほどの動画について、投稿者は、ロープを超えて撮影する人が多くいたとして、木に負担がかかるとそのルール違反を嘆いていた。
投稿には、5000件以上の「いいね」が集まり、外国人の間でも話題になったようだ。25年1月に入って、X上で動画が英語で取り上げられて、様々な意見が交わされている。
「そもそも日本語読めないんじゃないの?」との指摘もあったが、「何のためのロープ?考えなくても分かるでしょ」「最低限のマナーくらい身に付けてから観光に来て」といった声が相次いだ。また、注意書きについて、「せめて英語でも表示して欲しい」といった意見もあった。
外苑のイチョウ並木は、車道の両脇に2列ずつ、計4列・128本が約300メートルにわたって続いている。
今回、立ち入りがあったとみられるのは、明治神宮が管理している外側(歩道側)2列のどちらか1列だった。
「入ってはダメというのは、外国人の方でも見られれば分かる」
明治神宮外苑事務所の総務部は1月8日、J-CASTニュースの取材に対し、24年11月に初めて木の周囲を立ち入り禁止にしたと説明した。
老木になってきたイチョウの根について、踏まれて傷まないように保護することを理由に挙げた。禁止措置は、しばらく続ける予定だという。
「禁止場所に入ったというのは、初めてお聞きしました。外国人観光客などが立ち入っているというのは、報告を受けていません。特に問題になってはいませんが、根が踏まれる被害が増えてきた場合は、外国語の注意書きも掲示することを考えたいと思っています」
イチョウ並木のうち、内側(車道側)の1列ずつについては、東京都が管理している。
都の第1建設事務所の補修課は8日、取材に対し、イチョウの根を保護するため、以前からロープ柵を設置しており、23年には、柵を付け替えて高さを上げたと答えた。
「柵の中に入ってはダメというのは、外国人の方でも見られれば分かると思います。昨年11月23日から12月1日までライトアップした期間は、柵を越えて入ってしまう外国人の方もおられたようです。テレビのニュースでも取り上げられていました。撮影などのために車道に出る方もおられたようですので、柵は、歩道から車道への横断抑止の意味もあります。その期間以外は、立ち入りについて認識しておらず、根を踏んだなどの被害も報告されていません」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)