地域や業種の差を認識し、画一的でないメリハリのある引き上げが必要
――なるほど。不可能な企業に実現可能になる施策を聞くと、賃上げ促進税制の拡充や投資の助成が上位に並びました。これは今の制度では不十分だということでしょうか。
また、「低価格で受注する企業の市場からの退場促進」を望む声が多いことが目立ちます。これは正当な競争を望んでいるわけで、公正取引委員会の介入とか、官公庁の行政指導に期待しているということですか。
内田峻平さん おっしゃる通り、現状の制度では不十分と考えられます。病院からは「診療報酬改定」、介護事業者からは「介護報酬の増額」といった、業界でそれぞれの声が上がっています。
また、「低価格で受注する企業の市場からの退場促進」は、正当な価格競争を望む側面があり、正常な価格で勝負している企業の苛立ちを示すものだと思います。
行政には、税制、特に法人税や社会保険の負荷が大きいことを考慮してほしいと思われます。同時に、公正取引委員会には、発注者側の理不尽な単価や安値受注をあおるやり方があれば、積極的な指導が必要だと思います。
――最低賃金の引き上げは今後どうなるでしょうか。
内田峻平さん 最低賃金1500円の達成は不透明ですが、雇用確保を背景に時給は今後も上昇していくことは避けられません。ただし、地域や業種による差を認識したうえで、画一的でないメリハリのある引き上げの決定が必要かもしれません。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)