役職停止中でも「スポークスマンの一人」として「発信を強化」 立候補打診は「会った人に息を吐くように」【玉木雄一郎氏インタビュー】

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   2024年11月の衆院選で議席を伸ばした国民民主党は、直後に玉木雄一郎代表の不倫スキャンダルが発覚し、玉木氏は3か月の役職停止中だ。「一兵卒」だが、メディアへの露出は活発で、「スポークスマンの1人」を自任する。他党からの「処分された人はおとなしくしておくべき」という声には「四の五の言われる筋合いはない」と言い切る。

   インタビュー後半では、メディア対応のあり方や、25年7月に控える参院選の対応について聞いた。衆院選では候補者不足で他党に3議席を明け渡した国民民主にとって、大量の候補者擁立は急務。「会った人に息を吐くように」声をかけているとする一方で、当選する人が増えてきた分、「身体検査」を強化する必要性にも言及した。(聞き手・構成:J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)

  • J-CASTニュースの取材に応じる国民民主党の玉木雄一郎代表(2025年3月3日まで役職停止中)。参院選の対応などについて語った
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  • 取材前にはXに持論をポスト
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公認候補者が決まったことを新聞で知る

――このようにいろいろなことをお話しいただいていますが、役職停止になっても、このインタビューを含めてメディア露出は活発です。処分前に比べて、逆に忙しくなっていませんか。

玉木: いやいや、党内の役員会など一切出してもらえないから暇ですよ。この間なんか、公認候補者が決まったことを新聞で知りましたから。意思決定には一切関わっていません。その分、党や仲間を助けるためにも、フォロワー数も多いし発信力もそれなりについてきたので、決まったことはしっかりアナウンスしていきます。スポークスマンの1人として、対外的にアピールすることは、今自分ができることとして、党に最大限協力したいということで取り組んでいます。

―― 他党からは「処分された人はおとなしくしておくべき」との声もあがっています。

玉木: 党として、意思決定には関わらないけれども情報発信は個人としてやっていい、ということですから、その決まった範囲の中でやっているのを、他党から四の五の言われる筋合いはありません。それで「けしからん」と支持率が下がっているのならともかく、上がっていますから。やはり大事なのは。政治の状況が変わって、政策がブラックボックスで、特に税制は「インナー」という自民党の限られた人でしか決められなかったことが、私達が関与することによってオープンになってきたので、その過程や解釈、中身を、きちんと説明することが我々の責任だと思っています。決まったことについては、きっちり解説したり説明したりして、これまで以上に発信を強化していきたいと思っています。

―― 玉木代表のスキャンダルが「FLASH砲」で報じられたのは、特別国会がスタートした11月11日朝。これで政党支持率は下落すると思っていましたが、逆に右肩上がりです。スキャンダルのインパクトが小さかったのか、それとも政策がそれだけ支持されていたのか......。

玉木: 当初から多かったのは、「家族の問題だから、家族でしっかり処理してくれ、話し合ってくれ」という声です。政策について「選挙で掲げた以上、実現してくれ」という声が圧倒的に多かったのは事実ですね。

―― 個人的には意外でした。

玉木: 結構冷静ですよね。我々の支持率は特に若い人で高く、逆に60歳以上だと3~4%程度です。今回の私の問題に関しても、「問題だ」という人の割合は高齢者になればなるほど上がっていきましたが、若年層であればあるほど「むしろ仕事で」という人が多いですね。

フリー記者「出禁」への対応は

―― 発信力は玉木代表が一番高いと思うのですが、党の公式会見としては、代表会見は停止中です。

玉木: 榛葉賀津也幹事長の会見に一元化しています。

―― そこで一部で波紋を広げているのが、フリージャーナリストの横田一さんが「ルール違反」を理由に「出禁」になった件です。横田さんと(フリーカメラマンの)堀田(喬)さんは、昔から「あんな感じ」(横田氏が不規則発言を繰り返し、堀田氏が怒鳴る)なので、このタイミングで出禁になるんだ、という感じもします。

玉木: 私は出禁にしなかったんですよ? 幹事長も言ったように、ちゃんとルールを守ってくれるのであれば(入れる状態を)再開します、と言っています。自分の演説会みたいにしゃべり始めたり、ああいうのは一つの芸なんでしょうけど......。私も基本的にはいくらでも答えますが、他の記者さんが質問できなかったりとか、その(質問の)時間に付き合うのが非常にしんどそうなので......。私の主張発表大会になっているので、ご自身の主張と、質問として聞くことは分けていただいた方がいいかなと思いましたね。

―― 事前にどれだけ警告したのか、というのは議論があるところです。

玉木: ちょっとそこは榛葉の方で判断したので......。私がまた復帰したら戻っておいで、と言いたいです。それまでにちゃんとルールは守る、ということを榛葉幹事長との間で、しっかりコミュニケーションしておいてもらいたいですね。

―― 代表会見はずっとウォッチしていますが、議席が増えてから登場人物も増えましたね。すっかり知名度と比例して......(笑)。

玉木: それはいいのですが、それこそ我々が売れない頃からずっといる記者さんたちを前に、1人で15分とか20分とかしゃべっている人もいて、あれはちょっとやりすぎだと思いますね。どんな教育を受けたらあんなことになるんだろうと思います。人様の迷惑を考えないと......。

参院選では「少なくとも倍増」目指す

―― 先ほどの178万円をめぐる話題で「それもひっくるめて、参院選で国民の皆さんにご判断いただければ」という発言がありました。衆院選では比例で3議席「取りこぼし」がありましたが、参院選では何人擁立して、何議席の獲得を目指しますか。

玉木: 衆院選の反省からすると、候補者が足りなくて他党に議席を渡す、といったことは絶対なくさないといけません。公募などを通じて、全国で擁立をしっかりしていきます。衆院選の比例票が617万票で、そのまま持っていくと6~7人通ります。前回は(比例は)3人でしたから、少なくとも倍にしたいです。

―― 選挙区はいかがでしょうか。

玉木: 1人区で勝つのはなかなか容易ではないので、基本的には複数区の戦いかなと思っています。(例外的に1人区では)すでに長崎では擁立していて、そして東京、神奈川、埼玉......こういった複数選挙区では確実に、愛知とか大阪、福岡......こういうところで議席を目指していきたいですね。そうなると今、改選が4議席(選挙区1、比例3)なので、少なくとも倍増を目指したいですね。

―― 擁立する数についてはいかがですか。

玉木: もっと立てないと駄目ですね。今、全然足りていないので「ぜひ我こそは」と思う人は国民民主党の扉を叩いてもらいたいし、役人出身の人にも出てもらいたいです。今回(衆院選で)受かった中で環境省のキャリア出身の人もいますし、今神奈川で(参院選に向けて)頑張っているのは農水省のキャリア出身の人です。そういう役所出身でも、我々のところ来た方が面白い仕事できますから、反対ばっかりじゃないし......。霞が関の皆さんに「一緒にやらないか」と呼びかけたいです。

―― 「何人立てる」という具体的な目標はありますか。

玉木: まだないですね。役所出身に限らず、ビジネスの世界で頑張っている人、ITの分野やNPOをやっている人とか、いろいろな人が来てほしいですね。

出馬の打診は「手当たり次第に」「会った人に息を吐くように」

―― 週刊文春に、問題になった人に声をかけた、という記事が出ていました(11月26日「玉木雄一郎代表(55)の不倫相手・小泉みゆき(39)は国民民主党の候補者だった!」)。相当幅広く声をかけている、ということですか。

玉木: この前は、ハイヒールリンゴさんに声かけたんだけど駄目でした。あと王林ちゃんにも声かけて駄目だったなあ。

―― 相当カジュアルなスタイルで声をかけているということですね......??

玉木: 手当たり次第にかけています。会った人に息を吐くように声をかけてます(笑)。そうじゃないとなかなか候補者見つからなくて......。会うたびにね、(参院選に出られる)30歳超えていたら、とにかく声かけて......、王林ちゃんは30未満でしたけど。

―― 文春が報じた件については、お相手の人は出馬の意思がなかったので選考プロセスに乗らなかった、と定例会見で反論していました。

玉木: 乗らなかったですね。真面目に選考過程に行く人もいますが、リンゴさんも王林ちゃんも乗っていません。

―― そこで、もし本人にやる気があって、うまく党内のプロセスに乗ったとすれば......。

玉木: あとは、今まではなかなかうちから出てくれる人も少なかったので、いろいろな方が来ましたが、ある程度支持率も上がってきて、実際通るようになってきたので、やはり我々が厳選しておかないと......変に通っちゃっても困りますからね。

―― 安倍政権では、多数当選した世代が問題を起こして「魔の何回生」という言われ方もしました。この点は選考の時にも気を付けるということですね。

玉木: いわゆる身体検査もやらなきゃいけないし、本人の能力といったものも、これまで以上に厳しく見極めていかないといけないと思っています。

―― 野党間の選挙協力、候補者調整についてはどう考えますか。

玉木: 先日、橋下徹さんが「国民民主も維新主張の予備選について真摯な態度を示すべき」と(Xで)言っていましたが、ちょっと誤解があります。予備選は基本的に1人区でやるものですが、うちは1人区にはほとんど出せないので、そもそも調整の対象になりません。我々くらいの野党第3党は、結局複数区と全国比例が勝負の中心になるわけです。そうなると、自公とも戦いつつ、他の野党とも差別化しながら勝ち残っていかないといけない。なので、調整するインセンティブがそもそもありません。1人区は、今は長崎に1人立てているだけで、基本的には立憲さんと維新さんの話になると思います。

玉木雄一郎さん プロフィール
たまき・ゆういちろう 国民民主党衆院議員。1969年香川県生まれ。東大法学部卒。93年旧大蔵省入省。2009年の衆院選で香川2区から初当選し、現在6期目。旧民進党幹事長代理、旧国民民主党共同代表を経て18年9月から同代表。20年9月に分党を経て新国民民主党設立、代表に就任。

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