「売れない『実力派』地下アイドル」だったところに希望があった
―― 「リハック」の番組で、大学生から「売れない実力派地下アイドル」だと指摘されて話題になりました。これが23年5月。1年半の間に急速に支持が拡大したということでしょうか。
玉木: 彼女が言ってくれたのが「売れない地下アイドル」ではなくて「売れない『実力派』地下アイドル」だったところに希望があったんですよね。つまり、当時から大学生、若い人を中心に、「国民民主党や玉木雄一郎さんの政策いいぞ」という、「知る人ぞ知る存在」だったことは間違いありませんでしたし、比較的10~20代の支持は当時から高かった。ネットリテラシーが高くて、我々の政策を積極的に見るような人にとっては、元々響いていたわけです。選挙になると地上波でも取り上げてくれますから、露出も増やしながら議席の大幅増につながっていった、ということです。特に選挙が終わってからの方が、国民民主党の認知度は上がったと思います。「4倍増」になったことで注目されて、「何言ってんだ」と政策をみたら「手取りを増やす」「103万円の壁を引き上げる」と言っていて「いいじゃないか」と......。今回特別に新しいことをやったわけではなく、結党以来同じことを言い続けてきて、多くの国民の皆さんに「見つけていただいた」選挙でした。なので、選挙後は「見つけてくれてありがとう」と言ったんです。
―― AKB48のような大所帯のアイドルグループのメンバーも「私を見つけてくれてありがとう」という言い方をしますね。
玉木: そういう感覚です。日本経済新聞社とテレビ東京の12月20?22日の世論調査では、国民民主党の支持率が14%。立憲が9%で、その1.5倍ぐらい、2桁になっているのは夢のような事態です。我々としてはこれを慢心せずに、止まらずに前に進み続けたいと思っています。その意味では自公には柔軟に、我々国民民主党をはじめとした野党の意見も聞いてもらいたいし、我々も今まで反映されなかった声を政策の形で実現していく責任を負ったと思っています。だからこの「103万円の壁」をめぐる問題は簡単には譲れませんし、178万円を目指して頑張るというのは、変わらぬ方針で貫きたいと思っています。
―― 先ほどの地下アイドルの例え話で言うと、もうメジャーデビューして「地上」に出て、ある程度大きな会場でコンサートをするような感じに......。
玉木: まだまだそんなことはないんですけどね。ここからが勝負だと思いますね。ただ、今回の選挙で特徴的だったのは、1野党が言った政策が、ニュースやワイドショーを通じて、これだけお茶の間を巻き込んで話題になったのは、おそらく初めてだという点です。政治報道といえば「麻生さんと茂木さんが飯食った」みたいな話ばかりで、1票入れても結局変わらない感覚を持たれていましたが、「1票入れたら、ひょっとしたら手取りが増えるかもしれない」「税制が、政策が変わるかもしれない」と、特に若い人に思ってもらったという意味では、非常に意義ある選挙だったと思います。(選挙戦は)「政治とカネ」で一色でしたが、そういうときに正面から経済政策を訴えたところが現役世代に響いたと思っています。
―― 国会審議の風景は変わりましたか。
玉木: 自公だけで物事を決められなくなったのが大きいですよ。我々は「103万」に集中していますが、ちょっと目を転じると、「政策活動費」を廃止する法案が成立しました。最初、自民党は抵抗していましたが、立憲や維新とも一緒に法案を出して成立したわけです。大きな変化です。多様な意見を聞く国会になってきた、というのはプラスに捉えています。