電撃大賞受賞者、デビュー目前で急逝 「本当に無念」旧知のラノベ作家は悲嘆

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   電撃文庫・メディアワークス文庫の登竜門「電撃大賞」公式Xが2024年12月27日、第31回の大賞受賞者・電磁幽体さん(ペンネーム)の訃報を発表した。

  • 第31回電撃大賞イメージイラスト(プレスリリースより)
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  • 第31回電撃大賞ロゴ(プレスリリースより)
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  • 第31回電撃大賞ロゴ(プレスリリースより)

「生前のご意思を尊重させていただく形で、刊行へ向けて検討」

   電撃小説大賞は、KADOKAWAの社内ブランドであるアスキー・メディアワークスが1994年より主催する長編・短編小説の新人文学賞だ。

   電磁幽体さんは、『妖精の物理学―PHysics PHenomenon PHantom―』で、24年11月に発表された第31回の大賞に選ばれた。第31回の応募総数は3819作品だったという。

   電撃大賞公式Xは27日、「電磁幽体先生に関するお知らせ」との文書を公開し、訃報を伝えた。

「電磁幽体先生が、去る2024年12月12日(木)にご病気のため急逝されました」
「突然のことに、電撃大賞関係者および電撃メディアワークス編集部一同、茫然とし、深い悲しみに暮れています。デビュー目前のご逝去、残念でなりません」

   刊行前だった受賞作については、「受賞作の発売につきましては、ご遺族と相談させていただいており、電磁幽体先生の生前のご意思を尊重させていただく形で、刊行へ向けて検討しております」としている。

「率直に言うと学生時代の先輩後輩でした」

   突然の訃報に惜しむ声が相次ぐなか、「電撃大賞」をきっかけにデビューしたライトノベル作家の有象利路さんは「お互い口外しないように取り決めていたのですが、彼とは旧知の仲でした」と明かし、思いを吐露した。

   「率直に言うと学生時代の先輩後輩でした」といい、有象さんが先輩、電磁さんが後輩という間柄だったという。

   学生時代からラノベ作家を志していた電磁さんに対し、「創作すらしていなかった」という有象さん。しかし、電磁さんから「一緒にラノベを書きませんか」と誘われたという。

   電磁さんに誘われるままに執筆活動を始めたという有象さんは、当時を「今思えば自分の人生の転機でした」と振り返り、「何故か私は初めて送った電撃大賞で最終選考まで残ってデビューし、一方で彼は一次落ちという、嘘みたいな本当の話になりました」。

   「彼にしたら私は有り得ない存在に見えたらしく、以降私のことを『化け物』と呼ぶようになりました」「『有象先輩にラノベを書かせたのが自分の最大の功績』とよく彼は冗談めいて言っていましたが、やっぱり内心はきっと悔しかったのだと思います」とおもんぱかった。

   ここ数年は疎遠だったといい、選考中の作品タイトルで応募を知ったとするも、「二次選考通過くらいだったと思うのですが、なんとなく私は彼が受賞する気がしていました」という。

   「そしたらマジで大賞を取ったのでビビりました」と驚いた有象さんは、電磁さんと久々に連絡を取ったとした。

「良くも悪くも憎めないキャラクターでした」

   しかし、そこでは「プロの世界ではお互い面識ないようにするぞ、みたいな約束事」を交わし、「我々が旧い知り合いであると他の方に言っていいのは、今後彼がプロで5冊本を出せてからにする」と決めていたという。

   約束をかなえることなく亡くなった電磁さんについて、「良くも悪くも憎めないキャラクターでした」とした有象さん。

   「光る才能があり、それをぶっ潰すほどのサボり癖があり、誰もが欲しい電撃大賞を取ったかと思えば、刊行前に逝去する。もうスケールが違う。私からすれば電磁くんの方がよっぽど『化け物』で、結局お互い特別視していたのかもしれません」と振り返った。

   「私に出来ることはたかが知れていますが、"電磁幽体"という大賞作家が確かにいた事実を、今後も自分が作家を続ける限りは伝えていこうと思います」と決意をつづっている。

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