喜多方市「殺処分するかの判断は、ケースバイケース」
「集落から離れた人気のない場所にクマを運搬しましたので、現地で協議して、もう戻れないぐらいのところだと判断しました。しかし、食べ物の味を覚えて戻ってくる場合もないとは言えませんので、地域の方々に放送でお知らせして、家の施錠をしっかりするように呼びかけました。食べ物を外に置きますと、クマが嗅ぎつけて来ますので、置かないように注意喚起もしています。今回クマが入った家には、光を出して追い払える機械も今後設置する予定で、周辺のパトロールも強化していきます」
追い払い機については、12月2日に同じ地区の空き家にクマが入った後に設置すると、その後はクマが戻って来なかったという。
クマがかわいそうとのクレーム電話を恐れたかについては、そのようなことではないと否定した。
今回クマを放獣したことについて、25日昼過ぎまでに喜多方市に10件以上の意見が寄せられている。「また戻ってきたらどうする」「殺さなくてよかった」などと、賛否が半々ぐらいだという。
市では、殺処分するかは、被害の程度などによってケースバイケースで、判断の基準について一概に言えないとした。過去には、現場の判断で、有害鳥獣駆除のため殺処分したり、放獣したりと対応が分かれているという。
殺処分か放獣かの判断について、福島県の自然保護課は25日、基準は特にないと取材に答え、次のように話した。
「人に危害を加えるなどした有害個体については、駆除もやむなしと思っています。緊急時の捕獲権限は、市町村に移譲しており、今回は、市の判断で山に戻したということです。重要な動物の命を尊重したいという認識もありますが、人里に降りて来て危害も生じやすく、悩ましいところがあります。今回は、駆除もやむを得ないという判断も、放獣した方がよいとの判断も、どちらもできたと思います。最終的には、現場で個体を見て判断しますので、どちらが適切かは言えません。駆除か放獣か、方針が決まっている市町村はないと思います」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)