能登半島地震から1年...専門家がアドバイスする「災害時のスマホ活用法」 4つの事前準備も忘れずに

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   2024年の元旦に発生した能登半島地震から約1年。地震情報の入手にスマホややテレビはどう活用されたのか。

   NTTドコモのモバイル社会研究所(東京都千代田区)が2024年12月11日に発表した調査「【防災】能登半島地震 最初に接した手段は震源に近いとインターネット経由が多い」によると、意外なことに震源地に近いほど、第一報入手にスマホを活用する割合が高くなる。

   いったいなぜか。災害時にスマホをどう活用したらよいか。調査担当者に聞いた。

  • 災害時に役立つスマホアプリを入れておこう(写真はイメージ)
    災害時に役立つスマホアプリを入れておこう(写真はイメージ)
  • (図表1)「能登半島地震」最初にどのような手段で情報に接したか(モバイル社会研究所作成)
    (図表1)「能登半島地震」最初にどのような手段で情報に接したか(モバイル社会研究所作成)
  • (図表2)「能登半島地震」最初インターネット経由で知った割合(モバイル社会研究所作成)
    (図表2)「能登半島地震」最初インターネット経由で知った割合(モバイル社会研究所作成)
  • (図表3)「能登半島地震」最初にどのような手段で情報に接したか(年代別)(モバイル社会研究所作成)
    (図表3)「能登半島地震」最初にどのような手段で情報に接したか(年代別)(モバイル社会研究所作成)
  • (図表4)能登半島地震を最初に得た情報以外にどのような方法で情報を得たか(モバイル社会研究所作成)
    (図表4)能登半島地震を最初に得た情報以外にどのような方法で情報を得たか(モバイル社会研究所作成)
  • 災害時に役立つスマホアプリを入れておこう(写真はイメージ)
  • (図表1)「能登半島地震」最初にどのような手段で情報に接したか(モバイル社会研究所作成)
  • (図表2)「能登半島地震」最初インターネット経由で知った割合(モバイル社会研究所作成)
  • (図表3)「能登半島地震」最初にどのような手段で情報に接したか(年代別)(モバイル社会研究所作成)
  • (図表4)能登半島地震を最初に得た情報以外にどのような方法で情報を得たか(モバイル社会研究所作成)

石川県は全国で唯一、震災をスマホで知った人がテレビを上回る

   モバイル社会研究所の調査(2024年11月)は、全国の15歳~79歳男女1万355人が対象。

   まず、能登半島地震発生の情報を最初にどんな手段で知ったかを聞くと、3人に2人がテレビと答えた。発生日時が元旦だったため在宅していた人が多かったことが影響していそうだ。

   インターネットを通じて情報を得た人は26.5%。インターネット経由の内訳は「SNS」「サイト閲覧」「スマホの防災系アプリ」「エリアメール・緊急速報メール」の順だった【図表1】。

   興味深いのは、地域別(回答者の住所)にどんな手段で最初に地震の情報を知ったかを聞いた結果だ。インターネット経由で知った割合を都道府県別に見たのが【図表2】だ。

   震源に近いほどその割合が高く、震源から遠くなるほど、テレビの割合が高くなる。震源地の石川県は全国で唯一インターネット経由(44%)がテレビ(41%)を上回った。

   次に年代別にインターネット経由とテレビの割合を調べると、20代は両者が拮抗。年代が上がるにつれテレビの割合が増え、70代では8割以上がテレビで初めて能登半島地震を知った【図表3】。

   地震発生時には多くの情報があふれる。さらに、最初に得た情報以外にどのような方法で次々と流れる情報を得たかを調べた結果が【図表4】だ。

   最も多かったのはサイトの閲覧。多くの人は最初にテレビを通じて地震の情報を知り、その後インターネットで詳しい内容を調べていた。

   モバイル社会研究所では、災害時に役立つ調査結果を多く掲載した「データで見る防災ガイド」を公開している。

震源に近い地域ほど、スマホの緊急地震速報で知った

   J‐CASTニュースBiz編集部は、調査をまとめたモバイル社会研究所の水野一成さん(防災・子ども・シニア調査担当)に話を聞いた。

――能登半島地震は、千葉県に住む私も正月の団欒中に自宅のテレビで知りました。しかし、震源に近いほどインターネット経由で知った人が多いのはなぜでしょうか。しかも、石川県だけがインターネットがテレビを上回ったことも不思議です。地元テレビ局が災害を放送できなかった事実もないし。

水野一成さん 能登半島地震では、揺れが強かった地域に「エリアメール・緊急速報メール」が発信されています。今回の調査(最初に地震の情報に接した方法)から主に3つのパターンが想定されます。

まず、(1)その時間にテレビを見ていた人は、テレビで緊急地震速報を見た、あるいはその後の報道で地震を知った人(このパターンが一番多い)、あるいは地震の揺れを感じてテレビを見た人。

(2)緊急地震速報が出された地域(震源に近い地域)で、スマホで速報を受信した。

(3)緊急地震速報は受信せず、テレビも見ていなかった人の中で、インターネットを閲覧する中で地震を知った人。あるいは地震の揺れを感じて、スマホで情報を取得した人。

特に(2)については、震源地から近い人ほどその傾向が高いと思われます。石川県をはじめ、震源に近いほど最初に接した手段はインターネット経由が多い結果でつながったと推測されます。

地元自治体の防災アプリをぜひスマホに

――なるほど。テレビで知った地震情報をその後、サイト閲覧やSNSなどを使ってインターネットで詳しく調べた人が多かったですね。

水野一成さん 過去の調査結果でも「災害情報をテレビで受信した後にインターネット経由で情報を調べた」ケースが半数を超えています。

一方、「スマホで第一報を知った人がテレビで再確認する」ケースも約7割です。テレビとスマホ、双方を活用して、より詳しく災害情報を得る動きが広がっています。

テレビで全体の概要を知り、その後ご自身の知りたい情報(住まいの地域、別居家族が住んでいる地域など)をスマホで検索したと思われます。また、外出している場合は、テレビにはアクセスできないため、インターネットで確認しているかと思います。

――「データで見る防災ガイド」には、多くの参考になる情報が掲載されていますが、スマホに関して特に重要で役に立つ使い方が何でしょうか。

水野一成さん 当ガイドにも記載しましたが、「災害時の連絡方法をご家族で確認する」「安否確認ツールの利用方法の確認」「防災系アプリのインストール」「スマホの節電対策」の4つを平時に実施・確認することをお願いしたいと思います。

「家族との連絡方法」では、連絡方法が多様になっています。スマホ操作に疎い高齢の方もいらっしゃる場合は、家族みんなが共通して使える方法を確認すること、またその方法が使えない時に次の方法(プランB)を相談しておくことが肝心です。

「スマホで活用するアプリ」には、スマホに入れておくと安心なアプリがいくつか載っています。アプリによっては、プッシュ通知で情報を受け取ることができますが、偽・誤情報に翻弄されないためにも、地元の自治体やNHK、ドコモなど信頼できる情報元の情報を受信できるよう、ぜひ備えておきたいです。

――最後に特に強調しておきたいことがありますか。

水野一成さん 通信設備が大混乱して、スマホが使えなくなった時の対策も合わせてお願いしたいです。特に若年層の方は公衆電話の使い方を練習しておきましょう。また、スマホに内蔵しているご家族の電話番号の控えを取っておくことも重要です。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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