ポジティブな情報発信で対抗できるか
Aさんは最初、社内のマーケティング部門のBさんに相談したが、Googleの検索結果なんて操作できない、とけんもほろろだった。単に「この会社は大丈夫なのか?」と心配になって検索する人が多いだけだから、それを認めて対策するしかないという。
「でも、仮にGoogleを思うままに操作する方法がないのであれば、対策会社のサービスだってありえないということになりませんか?」
Bさんは考えうる対策として「ポジティブな情報をコンテンツとして発信し、『企業名+評判』で検索してもネガティブ情報が表示されないよう対抗する」方法を提案してくれた。しかしAさんの声は浮かない。
「試しに『社名+やばい』のサジェストのリンクを踏んでみたんですが、実際に当社がやばいと書かれているコンテンツがヒットしないんです。もしそれが実在すれば、Googleに削除申請したり、サイトに法的措置を通告したりするんですが」
これにもBさんは「たぶん過去に『やばい』を含んだコンテンツがあって、それが人気を集めていたのでGoogleもそのワードを評価したのでは? いまはそのコンテンツが取り下げられたか、何らかの理由で非表示になっているのだろう」と指摘するにとどまり、悪意のある工作には懐疑的だ。
一方、IT業界を取材している別のC記者は、以前、風評被害対策サービスの関係者を取材した際に、雑談で「業界内で怪しげなことをやっている会社はないですか?」と尋ねたところ、即座に「ありますね」と返ってきた経験を話してくれた。
「そのときは別件の用事だったのでそれ以上聞けなかったんですが、別れ際に『詳しく知りたかったら質問事項をメールに送ってください』と言われたんです。帰社してすぐに送ったんですが、それっきり返事は来ず、電話で催促したんですがダメでしたね」