「歩きスマホ」と「食事スマホ」が問題になっているが、SNSをよく使う10代~20代は7割以上が「歩きスマホ」と「食事スマホ」をしていることがNTTドコモのモバイル社会研究所(東京都千代田区)が2024年12月16日に発表した「ライフスタイル調査」でわかった。
これってスマホ依存ではないのか。調査担当者に聞いた。
XとInstagramにはなく、LINEにだけ顕著な傾向
モバイル社会研究所の調査(2024年1月)は、全国15~79歳の男女6440人が対象。
まず、1日に何回LINEを利用するかの頻度と、ながらスマホ(食事中、歩行中、人ごみの中)の関係を聞いた。その結果、LINEを多く利用する人ほど、ながらスマホを行う傾向にあり、1日3回以上利用する人の場合、半数以上該当することがわかった【図表1】。
ちなみに、「ながらスマホ行っている」は、「特に気にせず行っている」「多少気になるが、行っている」「状況に迫られて仕方なく行っている」の合計だ。
LINEの利用頻度と、食事中と歩行中のながらスマホの関係を表わしたのが【図表2】と【図表3】だ。
LINEの利用頻度が高いほど、「食事スマホ」や「歩きスマホ」を行なう傾向が強いことがはっきりわかる。特に1日10回以上LINEをチェックする10代~20代では7割以上がながらスマホをしている。
ところが、XとInstagramの利用に関しても、ながらスマホ(食事中、歩行中、人ごみの中)との関係を確認したが、ともにLINEの利用頻度ほど明確な違いが出なかった。
ながらスマホの習慣化と、スマホ依存は別物
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を行なったモバイル社会研究所の石原昌さんに話を聞いた。
――LINEを利用している人、特に10代~20代では6、7割が歩きスマホや食スマホを行っていますが、スマホ依存の面で問題だと思います。歩きスマホは非常に危険だし、食事スマホもマナー上ひんしゅくを買う行為です。最近はラーメン店などでも「来店お断り」の貼り紙を出す店も出ています。
石原昌さん これらの行動が習慣化していることと、スマホに依存しているとは別だと考えています。とはいえ、周囲に迷惑をかけたり、事故などにもつながったりする可能性があるため、その場にあった適切な利用をしてほしいと考えています。
――特にLINEで利用頻度が高い人ほど、どの年代も「ながらスマホ」をする人が多いのはなぜでしょうか。同じSNSでもXやInstagramにその傾向があまり見られないのに。
石原昌さん LINEはXやInstagramと比べて、主にメッセージのやり取りという、コミュニケーションに利用することが多いSNSです。メッセージは自分発信だけではなく、相手からプッシュでも来ることから、LINEは利用頻度が高くなるほど、ながらスマホする人が多くなるのではと思います。
だらだらとスマホをいじらず、目的を持ったメリハリ利用を!
――しかし、70代の私でも1日に数回LINEのやりとりをしますが、ながらスマホはしたことはありません。若い世代に、LINEを多く使いつつも、ながらスマホを減らす方法をアドバイスしてください。
石原昌さん 使用ルール(使用禁止時間帯/場所/目的/状況を決めるなど)を設けたり、メリハリをつけた利用を意識したりすることが、まずやるべきことかと思います。メリハリ利用とは、だらだらとスマホをいじったりしないで、はっきした目的を持って使うことを指します。
どうしても、通知が来ると、相手に早く返信しなくては、という気持ちになってしまうので、LINEの通知設定をオフにしておき、自分のタイミングでメッセージのやり取りをする、ということも1つの方法かと思います。
――私自身、街を歩いたり、駅のホームで待っていたりする時、歩きスマホの人間が近づいてくると怖くなります。オーストラリアでは、16歳未満のSNS利用を禁止する法案が成立しました。このままではどんな世の中になるのか、不安を覚えていますが、専門家としてどう考えていますか。
石原昌さん ながらスマホは、周囲に迷惑をかけたり、交通事故などにもつながったりする可能性があります。2024年11月からは、自転車でのながらスマホが厳罰強化されていますが、歩きスマホについても条例化している行政もあります。
スマホを利用する際は、周囲の人、場所、状況に配慮し、適切に使っていただきたいです。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)