横審委員長だった故・渡邉恒雄氏の「引退勧告」と貴乃花が見せた執念

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   2024年12月19日に訃報が伝えられた、プロ野球の読売ジャイアンツの元オーナーとして知られる渡邉恒雄氏は、2001年から2年間、日本相撲協会理事長の諮問機関である横綱審議委員会の委員長を務めた。当時、スポーツ紙で大相撲を担当していた記者は、何度か渡邉氏を取材する機会があった。

   大相撲では年3度(1月、5月、9月)、東京・両国国技館で場所が開催される。当時、東京場所が行われる前に、両国国技館内に併設している相撲教習所で横綱審議委員による稽古総見が恒例行事となっていた。

  • 渡邉恒雄氏、長嶋茂雄氏と2006年WBC1次ラウンドで(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
    渡邉恒雄氏、長嶋茂雄氏と2006年WBC1次ラウンドで(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
  • 渡邉恒雄氏、長嶋茂雄氏と2006年WBC1次ラウンドで(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

「横綱だからといって一年以上も休むことなど許されない」

   稽古総見とは、横綱審議委員が稽古を通じて横綱をはじめとする番付上位陣の体調をチェックすることを目的として行われるもので、横綱審議委員、日本相撲協会の理事長ら親方衆らが一同に顔をそろえる。

   巨人軍のオーナーを務めていた渡邉氏は、相撲場でもスポーツ紙の巨人担当に追いかけられていた。相撲担当記者との質疑応答が終わると、次は巨人担当記者に応じる。大相撲、プロ野球の両担当において、渡邉氏の発言は非常に大きなものだった。

   渡邉氏は良い意味でも悪い意味でも物事をはっきりと言う人物だった。

   横綱審議委員長時代の2002年7月、名古屋場所後の横綱審議委員会でのことだった。当時、7場所連続で休場していた横綱貴乃花に対して渡邉氏は「横綱だからといって一年以上も休むことなど許されない」と翌秋場所の出場を厳命した。

   そして出場する際の条件として12勝以上を課し、「責任をまっとうする自信がなければ自ら決してくれということ」と、横綱としての結果を残せなかった場合、自主的に引退することを求めた。

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