半世紀前は「苦労すべきだ」が50ポイント以上上回った
こうした新入社員気質をどうみたらよいのか。J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を行なった日本能率協会の担当者の話を聞いた。
――今回、初めて「若いうちは進んで苦労すべきと思うか」という質問を行なった狙いはなんでしょうか。
担当者 じつは、公益財団法人・日本生産性本部が、1969年から2019年まで同様の新入社員意識調査をしていました。その調査は終了しましたが、その中に「若いうちは進んで苦労すべきと思うか」という質問が毎回あったのです。当協会としても貴重な設問と思い、今年度から取得を開始しました。
日本生産性本部の調査では、1969年頃は「苦労すべき」が「苦労する必要はない」を54.3ポイントも上回っていました。それがどんどん差が縮小し、最後の調査だった2019年では「苦労する必要はない」が過去最高(37.3%)となった一方、「苦労すべきだ」が過去最少(43.2%)となり、差が5.9ポイントにまで縮小しました。
当協会の調査もその流れを引き継ぐような結果で、「苦労すべき」と「苦労する必要はない」の差が5ポイントに接近しました。
――半世紀の間に、ずいぶん新入社員意識が変わりましたね。私は、ちょうど半世紀前に新入社員だった70代ですが、「若い頃の苦労は買ってでもしろ!」「鉄は熱いうちに打て!」が当たり前。上司にも「獅子はわが子を千尋の谷に落とす」を期待したものです。そういう意識は、現在はあまりないのでしょうか。
担当者 2023年の国民生活に関する世論調査(内閣府)の18~29歳の働く目的は、「お金のために働く」が75.8%となっています。また、「どのような働き方が望ましいか」(18~29歳)では、1位「収入安定」(67.8%)、2位「自分にとって楽しい仕事」(62.1%)、3位が「私生活とのバランス」(57.7%)となっています。
いわゆる大志を抱くタイプの「高い収入が得られる」は37.2%にとどまっており、無理をせずに働きたいという意向が作用していると推察されます。