働くうえで男性と女性はどっちが得か、損か?
男性は若い人ほど「男だから損だ」と感じる人が多い一方、女性は若い人ほど「女だから得よ」と感じる人が多いというユニークな研究をニッセイ基礎研究所の村松容子さんがまとめた。
イマドキの若い男女の仕事観はどうなっているのか。村松容子さんに聞いた。
得か損かで「得だけ」と答えたのは若い女性がトップ
この研究報告は、ニッセイ基礎研究所研究員の村松容子(むらまつ・ようこ)さんが発表した「性別を理由とする不利益~男性は低年齢ほど不利益を感じている」(2023年6月26日)と、「働くうえで性別による不利益や得を経験したことがあるか~男性は若年ほど『不利益』を経験。中高年以上の女性は『不利益』は解消されないままか」(2024年12月3日)の2つだ。
研究は、同研究所が毎年行っている「被用者(公務員や会社員)の「働き方と健康」調査のデータをもとにしている。
まず、第1のリポートでは、「働くうえで、性別を理由として不利益をこうむったと感じることがあるか」を聞いた。その回答結果が【図表1】だ。
男女それぞれ年齢別にみると、不利益をこうむったと感じる割合が、女性は55歳以上では約24%なのに34歳以下では約17%と、若い人ほど低くなる。
一方、男性は55歳以上では約6%なのに、34歳以下では約15%と、逆に若い人ほど高くなるのだ。
第2のリポートでは「性別による損と得」の問題をさらに深掘りした。
リポート1の質問に加え、「働くうえで、性別を理由として得をしたと感じることがある」という質問を加えた。回答を組み合わせた結果、「いずれもなし」「不利益だけ」「不利益も得も」「得だけ」という4種類の答えが表れた。
男女年齢別に「不利益・得」の割合を比較したのが【図表2】だ。
男女とも年齢が高くなるほど「いずれもなし」の割合が高く、若年ほど「不利益だけ」「不利益も得も」「得だけ」の割合が高くなる。つまり、若い人ほど損得意識が強くなるわけだ。
中でも特徴的だったのは、34歳以下の女性で「得だけ」が10.0%に達したこと。全年齢群・性別で最も高かった。