フリーアナウンサーの小倉智昭さんが2024年12月9日、膀胱がんのため死去した。10日、所属事務所が発表した。77歳だった。10日朝に死去が報じられると、SNSでは悲しみの声が寄せられるとともに、3月に日経新聞に掲載された、病気により変わった生活と思いをつづった小倉さんのコラムが再度注目され、共感の声を集めている。
「体が動くうちに海外旅行をすればよかった」
小倉さんは、情報番組「とくダネ!」(フジテレビ)でメインキャスターを務めていた16年に膀胱がんを患っていることを公表。21年には肺にがんが転移していることを明かした。23年には腎盂がんが発覚し、左腎臓を摘出していた。
SNSで注目されているのは、3月30日に公開された連載コラム「向き合う」の第4回、「小倉智昭さん、『老後にやろう』はダメ 闘病の末の本音」と題した記事だ。小倉さんはコラム内で、病気が襲いかかってきたのは、経営する会社で新事業のため社員を増やしたタイミングだったと明かす。
小倉さんは、塩分などを自分で計算して料理していることや、妻とやり取りが増えて仲が深まったことなど、生活の変化をつづった。
一方で、自宅には最新設備のオーディオルームに未視聴のDVDやCDがたくさんあるが、耳が聞こえにくくなってしまったとも。「体が動くうちに海外旅行をすればよかった」と後悔をつづり、「若いうちにやれることがあったらやったほうがいい。老後にやろうと思っていても、老後になるとできないことがあまりにも多すぎる」と伝えた。
掲載当時も話題に、佐久間宣行さんも「けっこう響いて」
このコラムは、掲載当時もSNSで共感を集め、話題となった。元テレビ東京プロデューサーの佐久間宣行さんも自身のラジオ「オールナイトニッポン0」で言及し、「けっこう響いて」と話した。
12月10日に小倉さんの訃報が報じられると、このコラムが再度注目を集めた。Xでは、「残された人生で何が出来るか、何をすべきかを考えさせられます」「ずっと胸に刻んでおきたい」「小倉さんの晩年やお人柄が伺え知れるし、老後について考えさせられる名文だと思う」といった声が寄せられた。
インフルエンサー・起業家の田端信太郎氏も10日にXで、追悼の言葉とともに「50前の人間としてはブッ刺さりました。肝に銘じて生きていきます」とこのコラムに触れている。