韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が2024年12月3日に「非常戒厳を宣布」したことを受け、6日に韓国の与党代表が「大統領の早急な職務停止が必要」だと発言し、与党が弾劾に賛成する可能性が浮上した。
非常戒厳の宣布に際しての報道の遅れが指摘されていたNHKは、総合テレビではなく、Eテレ(NHK教育テレビジョン)での特別番組対応を行った。
3日の戒厳令では「臨時編成を組んで放送すべきではないか」
6日朝、韓国与党「国民の力」は党の緊急会議を開き、韓東勲(ハン・ドンフン)代表が「尹錫悦大統領の早急な職務執行停止が必要だと判断した」とした。
前日5日に開かれた党最高委員会議では「今回の弾劾については通過しないよう努力する」としていたが、報道によると、与党は尹大統領が3日に主な政治家たちを「反国家勢力である」という理由で逮捕しようとしたことを突き止めたという。
最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表も尹大統領について「できるだけ早く職務から排除しなければならない」としており、7日に採決が行われる尹大統領弾劾訴追案表決で、大統領の弾劾が可決される可能性が浮上した。
SNSでは、3日に起きた戒厳令を発端とする騒動をめぐるNHKをはじめとする日本のテレビ報道での扱いに、疑問の声が相次いだ。BBCやCNNなどの海外メディアがいち早く報じ、逐一現場の状況を伝えていた一方で、日本メディアの報道は情報量が少なく、時間も短かったとの指摘が上がったためだ。
識者らからも「NHKは隣国の戒厳宣布(上からのクーデター)について臨時編成を組んで放送すべきではないか」「せめてNHKはNHKスペシャル再放送にL字字幕を重ねて速報してくれ」などとする声が上がっていた。
総合テレビでは参議院予算委員会の国会中継中
NHKでは、Eテレで特別番組が放送された。Eテレでは6日11時10分から「NHK高校講座 芸術/美術Ⅰ マンガとアニメーション」が放送される予定だったが、特別番組に切り替わった。
特番には神戸大学大学院・国際協力研究科の木村幹教授が電話出演し、解説を行った。
Eテレで特番対応が取られるのは異例だが、総合テレビでは参院予算委員会の国会中継を行っていたことから、Eテレでの対応となったとみられる。
11時30分時点で、「『NHKみんなの手話』は日をあらためて放送します」とのテロップが流れ、特番は11時54分まで放送された。