上層部の加害から職場の仲間を守るには?
――SOGIハラ・アウティングを見聞きした後の行動ですが、「何もしなかった」人が半数強半面、被害者の話を聞いたり、相手に注意したりした人も半数弱います。この結果をどう評価しますか。
私はずいぶん多くの人が、SOGIハラ・アウティングの被害者に共感するようになったなと感心しています。私の経験では、デリケートな問題を含んでいるので、あまり事を大きくすると、かえって被害者のためによくないのではないかという意識が働いてしまうからです。
中島さん 「何もしなかった」方が全体で5割を超えており、かつシスヘテロの方が性的マイノリティーの方よりも多い傾向があります。「何をしていいのかわからない」とか「(自分事化して)何かしら行動することができない」という方が一定数いると思われます。
ご指摘のとおり、表沙汰にすると被害者にとってよくないと思われている方もいると考えられますし、噂話やなんとなく見聞きしたため具体的な被害者がわからなかったという意見もありました。
一方で、性的マイノリティー当事者は、シスヘテロの方よりも「被害者の話を聞いた」割合が高いため、自分事化しながら行動に移せる方が多いと思われます。
――直属の上司、さらに経営者・役員からの被害が多いですね。これは企業として大問題です。また、一般社員の立場から職場の仲間がそのような被害にあった場合、相手が上層部だけにどう対応したらよいと思いますか。
中島さん 調査では、性的マイノリティーの人が安心して働ける職場環境にするために取り組むべきこととして「差別禁止の明文化」や「ガイドラインの作成」が上位に上がってきています。
まずはトップや経営層のLGBTQ+についての理解が必要ですし、研修やワークショップなどを通じてのインプット・アウトプットも重要になります。
人事・管理職・一般社員に対する研修は大手企業を中心にある程度進んできているため、今後は経営層への研修の必要性も感じています。また、相手が管理職や経営層といった自身の上長にあたる場合は、人事や相談窓口(可能であれば社外相談窓口)へ連絡し、対応を進めてもらうことがよいと思われます。