転職者は賞与額だけでなく、評価やフィードバックの質も調べよう
――なるほど。企業としてはボーナスの額を増やすのが理想ですが、それが難しい場合でも、評価に関して丁寧なフィードバックを行うべきだということですね。具体的にはどうやれば納得感を得られるのでしょうか。
朝比奈あかりさん 個人の自由回答をみると、評価自体の高低によらず、自身の頑張りが反映されていたり、賞与額の計算が明確であったりすることで納得感がある、という意見が見られました。たとえば、こんなケースです。
【前年冬の賞与:20万円代】
「評価のフィードバッグで、自分が特に苦労し工夫した点が賞与の加算項目に追加された」(女性30代/不動産・建設・設備・住宅関連)
【同40万円代】
「会社の業績を反映してもらえた。フィードバックもあり、自分の良し悪しを客観的に見ることができた」(男性 40代/運輸・交通・物流)
【同50万円代】
「会社の利益に対しての額を出してもらった」(女性40代/不動産・建設・設備)
――今回の調査で特に強調しておきたいことや、転職者へのエールがありますか。
朝比奈あかりさん 特に重要なポイントは2点あります。
1点目は、賞与額が物価高に見合う金額に至っていない可能性がある、ということ。正社員の6割以上が賞与額に物価高が考慮されないと考えています。
2点目は、増額が難しい場合であっても、フィードバックを行うことで賞与の納得感を高められる可能性がある、ということ。企業側には、従業員のモチベーション向上や企業全体のパフォーマンス向上のために取り組めることとして有効なのがフィードバックです。
転職を考えている方に対しては、職場を探す際、賞与額だけでなく評価やフィードバックの質、職場環境など、総合的に納得のいく職場を見つけることが大切ではないかと考えています。自分に合った職場を見つけるために、情報収集を怠らず、慎重な選択が必要ではないでしょうか。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)
【プロフィール】
朝比奈 あかり(あさひな・あかり)
マイナビ社長室 キャリアリサーチ統括部キャリアリサーチラボ研究員
2016年中途入社、「マイナビ転職」の求人情報や採用支援ツールの制作に携わる経験を経て2020年に現職へ。
専門・研究分野:中途採用領域全般、正社員の働き方、転職と賃金の関わり、キャリア自律など。