「100万円」のボーナスでも、フィードバックを受けないと不満
――つまり、まず生活に必要な最低限のボーナスを支給されることが大前提だというわけですね。
朝比奈あかりさん この最低限の金額が満たされた場合、それ以上の金額では「仕事の評価に対する不満」の影響が強くなると考えられます。
そのため、最低限の金額が満たされている場合は、金額の高低よりもフィードバックの有無のほうが関係性は強いのではないかと推察しています。
たとえば、「賞与に対する納得感の理由」の自由回答をみると、前年もらった冬の賞与額が平均の2倍である「100万円」という人の中でも、「物価高に対する賃上げの実感がなく、同業者に比べて賞与が少ない」(男性50代/不動産・建設・設備・住宅関連)と納得感が低い人もいます。
このように、金額が高いからといって必ずしも納得感が高いわけではないことがわかります。
――「100万円」の人は、ちゃんとフィードバックされてなかったようですね。ところで、調査では若年層ほどフィードバックを受ける機会が多いからボーナス額への納得感も高いとあります。逆にいうと、ミドル層はフィードバックを受ける機会が少ないわけで、若者優遇の理不尽な印象を受けます。
朝比奈あかりさん 若者優遇というよりは、仕事を教わるキャリアの初期段階にいる人に若者が多いと考えております。
若者は、以前より仕事がどの程度できるようになっているか、成果が上げられるようになっているか、という視点で、上司からフィードバックを受けています。
一方で、経験豊富なミドル・シニア層に対しては、フィードバックを実施できる人がいない可能性も考えられます。企業側に行った調査では、フィードバック実施が「ルール化されている」ところは約半数にとどまっており、個人の裁量に任されているケースもあるようです。
個人の裁量に任されてしまうと、管理職層の負担が増え、フィードバック対象者の偏りも進んでしまいますから、企業には公平で透明性のある評価制度の構築が求められているのではないでしょうか。