給与と評価は企業経営の根幹、従業員や採用候補者に正しく伝える
津田郁さん こちらも別のデータですが、リクルートが全国の企業人事担当者に行った調査では、「賃金・報酬制度を変え、従来のやり方を見直す必要性を感じている」との回答は半数超でした。
その理由を聞くと、2番目に多かったのが「業界や外部労働市場(社外)と照らして、競争力のある報酬水準にしたい」でした。見直しにあたり、自社内だけでなく、社外の相場や業界の水準などを意識している、ということです。
――結局、いくら頑張っても給料が低ければ、ほかにいくだけでしょう。
津田郁さん そのとおりです。給与制度は、企業経営の根幹となる人事制度です。評価制度も同様ですが、これらがセットになることで経営のメッセージとなりえます。
従業員のどのような行動を評価し、どのようなパフォーマンスに対して賃金や報酬を支払うのか、制度を通じて従業員に伝わるのです。
だからこそ、社外の基準を参考にしつつ、給与や評価制度を一貫して見直し、その内容を従業員や採用候補者に正しく公開して伝えることが求められるのではないでしょうか。
こうした取り組みこそが、多くの企業が人手不足に直面するなか、社内外の人材を引きつける上で重要と考えています。
(J-CASTニュースBiz編集部 福田和郎)
【プロフィール】
笠井彰吾(かさい・しょうご)
リクルート研究員
国会事務局での勤務の後、2019年、リクルートジョブズ(現リクルート)入社。ジョブズリサーチセンター研究員を経て、現職。
津田郁(つだ・かおる)
リクルートHRリサーチセンター長
金融機関を経て、2011年リクルート海外法人(中国)入社。グローバル採用事業『WORK IN JAPAN』のマネジャー、リクルートワークス研究所研究員などを経て、現在は労働市場に関するリサーチ業務に従事。経営学修士。