退職代行を利用して、後ろ足で砂をかけるように会社を辞める人が増えている。その一方で、退職後もアルムナイ(中途退職者)として、会社との関係を良好に維持したいと考える人たちも少なからずいるようだ。
退職者を対象としたある調査によると、自身が過去に所属していた企業とのつながりを持ちたいか尋ねたところ、20代では「非常にそう思う」と答えた人が7%、「そう思う」が52%で、あわせて約6割もの人がつながりを希望していたという。
退職してみて「初めて前職のよさを知る」
この調査は、人事系SaaSを提供するハッカズークが、従業員100人以上の企業に所属していた転職経験のある正社員286人から回答を得たもの。
企業とのつながりを希望する人の割合は、30代では「非常にそう思う」が15%と20代を上回り、「そう思う」の38%と合わせると53%と、やはり過半数に達している。40代では「非常にそう思う」と「そう思う」の合計が40%、50代では同30%と年代が進むごとに減っていき、若手世代の積極性が目立つ。
一方で、つながりを持ちたいと「まったくそう思わない」と答えた人は、20代でも22%を占めており、退職後に企業と関係を維持したくないと強く考えている人も一定数いる。
この結果について、転職エージェントでの勤務経験を持つAさんは、自身が出会った人材の考え方とほぼ一致していると納得している。
「20代から30代前半の退職者は、元所属企業への思いが二極化しています。絶対に関わりたくないという人もいる一方で、割合としてはつながりを持ちたいと考えている人はかなり多い印象です。あわよくば『出戻り転職』をしたいと考える人も結構います。退職してみて、初めて前職のよさを知ることになるみたいですよ」
とはいえ、一度も転職せずに不満を募らせてくすぶっているよりも、一度外に出てみること自体は悪くないというのが、Aさんの意見だ。
「元いた会社を外から眺めることで、良さも悪さも客観的に見られるようになったということでしょう。とはいえ、転職前に気づければ、そっちの方がいいのかな、と思う人もたくさんいます。なので私たちも、転職先ですぐに辞められると困ることもあり、辞めない方がいいと思ったら率直にそうお伝えするようにしています」