斎藤元彦兵庫知事の県知事選挙での公職選挙法違反疑惑問題で、斎藤氏のSNS戦略を担当したとするPR会社「merchu(メルチュ)」。この会社が、24年度の「ひょうご仕事と生活のバランス企業表彰」の受賞企業となっていることがSNSで注目を集めている。
この問題を受けて、受賞の取り消しなどは検討されているのか。県は取材に、「今のところは表彰の方向で検討しております」と明かした。
代表の折田氏は県関連の仕事を請け負っていた
メルチュ代表・折田楓氏が20日に公開したnote記事で、知事選において斎藤氏の広報やSNS戦略全般を担当していたとして、その具体的な手法を明かしていた。これに、有償であれば公職選挙法違反ではないかとの指摘が相次いだ。総務省のサイトによると、一般論として「業者が主体的・裁量的に選挙運動の企画立案を行う場合」に報酬を支払うと、買収となるおそれが高いとしている。
斎藤氏は、メルチュにはあくまでポスター制作などを依頼したのみであり、その制作費として約70万円を支払ったとし、公職選挙法違反には当たらないと主張。SNS運用は自身や斎藤事務所が主体的に行っていたともしている。
SNSでは、折田氏が斎藤氏の前回の任期中、県の地域創生戦略委員やeスポーツ推進検討委員を務めるなど、県に関連する仕事を複数していたことも注目を集めた。
さらに、11月5日に発表された「ひょうご仕事と生活のバランス企業表彰」の受賞企業にメルチュが含まれていることも、SNSで話題となった。
ITツールを使った業務効率化やリモートワークの推進を評価
公式サイトによると「ひょうご仕事と生活のバランス企業表彰」は、「仕事と家庭生活の両立の促進や、多様な働き方の導入等の先進的な取組を実施している企業・団体を表彰する」企画だ。県や外郭団体「兵庫県勤労者福祉協会ひょうご仕事と生活センター」などが主催する。
「ひょうご仕事と生活の調和推進企業」に認定されている企業や団体から募集して審査し、24年度は15の企業・団体が受賞している。
メルチュをめぐり、斎藤氏の公職選挙法違反の疑惑が取りざたされているなか、受賞の取り消しなどは検討されているのだろうか。
26日にJ-CASTニュースの取材に応じた県産業労働部労政福祉課の課長は、取り消しは検討せず、「今のところは表彰の方向で検討しております」とした。
しかし、メルチュは29日に予定されている表彰式に欠席する意向を伝えているという。
メルチュの受賞理由については、「Slackや情報共有システムといったさまざまなITツールを積極的に活用して業務効率を進めていること、社員の皆さんが自由度の高いリモートワークを進めていることが理由です」と明かした。
県公式サイトにはさらに、メルチュの主な取り組みとして「家族参加型のイベントや休憩時間のヨガ実施など、ウェルビーイングを意識した取組を推進」「社長および従業員がWLB(編注:ワークライフバランス)に取り組む様子をSNSやYouTubeで積極的に発信」と記載されている。
なお、J-CASTニュースはメルチュにも取材を申し込んだが、期限までに回答は得られなかった。