若手営業職の3人に2人が「将来の転職考える」 背景に「ザ・モデル型」による過度な効率追求も

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タスクを分割しすぎると「汎用スキルも身につきにくい」

   Aさんは、調査で「身につけたスキルが今後も役立つのか」と答えた人が最多となった理由について、こうコメントする。

「ようするに、ザ・モデル型では、営業職が歯車のひとつになっているので、自分ひとりでは何もできなくなるんです。仮にインサイドセールスの専門家になったとしても、前工程のマーケティングや後工程の外勤営業がいないと仕事にならない。仕事の全体像を見渡せなくなると、チームの成果に貢献している実感が薄まるし、他社でも通用する営業職としての自信を持ちにくくなります」

   「やりがいや情熱を感じない」という不安を抱える人が多かった理由も同様だ。

「『行動がルーティン化してしまっているから』というコメントがありましたが、まさにそういうことです。決まったタスクをひたすら繰り返し、仕事がどんどんルーティン化していけば、仕事に対する情熱が薄れがちになります。汎用スキルも身につきにくいので、転職市場で評価される力が得られないという感覚になるのです」

   転職したい理由に「給与や待遇や将来の目標に見合わない」「現職ではキャリアアップが見込めない」と答えた人が多い理由も、やはりザ・モデル型が関係しているのではないかという。

「生産性を極限まで高めても、その手柄は仕組みを作った人やマネジメントを担う人に取り上げられがちで、一生懸命やっても評価がされにくい。高い目標を達成し続けても、なかなか高い評価をもらえない。キャリアアップを考えれば、それまでの経験が活かせてより高い給与がもらえる会社に転職するしかなくなり、その不満が転職したい理由にもあらわれています」

   問題の解決策として、Aさんは社内でのジョブローテーションはどうかと提案する。異なるプロセスを担う部門間での人事交流を増やすことで、マンネリ化を防ぎ、スキルの幅を広げられるのではないかというのだ。

「会社としては、ルーティンに飽きたらなくなった人には辞めてもらうのが都合がいいのかもしれませんが、それではあまりにも使い捨てです。複数の部門を経験することでプロセス間のコミュニケーションを改善することもできますし、生産性が向上すればスタッフにも還元するようにしてあげればモチベーションも上がる。そんな形で仕組みをブラッシュアップすればいいんじゃないですかね」
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