ウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使が2024年11月19日に東京・丸の内の日本外国特派員協会で記者会見を開き、北朝鮮が兵士をロシアに派遣してウクライナ戦線に参加させている問題に言及した。
北朝鮮兵は「戦えない」と指摘する一方で、見返りとしてロシアが供与する軍事技術が「東アジアへの直接的な脅威」になる可能性を警告した。
「ミサイル開発計画を前進させることを可能にする技術」を供与
北朝鮮軍のロシア派遣をめぐっては、国連安保理で11月18日(現地)に開かれた閣僚級会合でも、日米韓などが批判している。
コルスンスキー氏は、派遣されている北朝鮮軍の戦力自体は問題にならないとの見方を示した上で、北朝鮮が見返りとしてロシアから受ける軍事的供与を特に問題視した。
「事実として、我々は1万人近くの北朝鮮軍を抱えている。我々はすでに彼らを戦場から排除し始めた。彼らは戦えない。これは明らかだ。しかし、それにもかかわらず、北朝鮮がロシアに大量の弾薬を供給し続けているという事実がある。もちろん、それで戦争の構図が変わるわけではないが、本当に深刻な問題は、ロシアが地上部隊と引き換えに何を北朝鮮に提供するかということだ」
「かなり信頼できる情報」として、ロシアは北朝鮮に対して、コメや金銭以外に、「ミサイル開発計画を前進させることを可能にする技術」を供与していると指摘。具体的には「最近の7000キロの新型弾道ミサイルの発射は、このような協力の直接的な結果だった」と説明した。北朝鮮が10月31日に発射し、最高高度7687.5キロを記録したと主張している大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星19」を念頭に置いているとみられる。
こういった技術供与が「東アジアへの直接的な脅威」になりうるとみている。
「重要なのは、北朝鮮が軍事技術の面でより洗練されている、という現実的な発展が見られるということであり、それは東アジアへの直接的な脅威だ、という点だ」
将校やアドバイザーは「近代的技術から学んでいる」
一方で、現場の部隊の質については「何も深刻な問題はない」とも話した。その理由を
「彼らは戦えない。初めてインターネットに接続したため、ポルノサイトに時間を費やす。食料が足らないので自力で調達する必要もある」
などと説明し、ロシア語ができないので訓練もままならないとも指摘した。
ただ、兵士以外に「将校やアドバイザーもいる」とも。「彼らは近代的技術から学んでいる」として、「技術」のひとつとしてドローンの技術を例示。これを北朝鮮が利用することが「大きな危険」になりうるとした。
ロシアによるウクライナ侵攻は22年2月24日に始まり、24年11月19日で1000日が経過。会見は1000日の節目を機に開かれた。
(J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)