2017年頃からSNSでは「整形垢」と呼ばれるアカウントが目立ち始め、コロナ禍以降に勢いが加速した。その影響は若者だけではなくミドル世代にまで広がり、美容整形に関心を寄せる日本人が一気に増えたという。
特にZ世代と呼ばれる若者の多くが美容整形に興味を持ち、中には20歳を迎える前に全身整形を終える猛者も少なくはないという。一昔前なら「整形なんて」と批判されていたものの、令和の時代ではルッキズムが大きく変化しているのだ。
整形のために夜職を選ぶ
今は美容クリニックの広告が大々的に打たれる時代。「二重は可愛い」「中顔面は短い方が良い」「おでこは丸くないと」というプロモーションを目にすると、人々は無意識のうちに「あ、そうなのかしら」と考えてしまう。
多感な人にとっては、興味を持った後に大きな目や美しいカーブの輪郭を「義務」のように捉えてしまいかねない。すると、次第に手術への抵抗感が薄れていく。広告は「こうしなければ」と意識を刷り込ませるには最適な方法だから、特に若者は影響を受けやすいのだろう。
美しくなりたいと思うのは至って普通のことだが、「美」へのこだわりが驚くほど強まると欲が抑えきれず、多額の手術費を何としてでも欲しくなる。すると、SNSでキラキラした夜職キャストたちを眺めるZ世代は、夜の世界へあっさりと足を踏み入れるのだ。
確かに高収入バイトをすれば、高い手術代を10代、20代でもすぐに用意できる。知人は整形代欲しさにパパ活を始め、約3年で1000万円ほどの「フルカスタム」に成功し、現在は高級キャバクラ嬢として高収入をキープし続けている。
今はこのような動機でお金を得て整形をする流れが一般的になったせいか、「右へならえ」する人々がここ数年で急増した。
そうこうして完璧を求め続け、走り続ける間にさらなる欲が強まった結果、時に危険な仕事に手を染めるケースも実は多い。違法の海外出稼ぎやパパ活などが代表例と言える。
目に見えたものだけに動かされ、自分を見失った人々の行きつく先は「闇」である点を象徴した現実だ。