2024年11月17日投開票の兵庫県知事選で、県議会の不信任を受けた斎藤元彦前知事が当選を果たした。パワハラ問題が争点となった選挙戦だが、SNSを中心とする世論が斎藤氏を後押しした格好だ。Xでは、斎藤氏の当選を受け「オールドメディアの敗北」などのワードがトレンド入りするなど、メディアへの不信を表明するユーザーの声が目立つ。
こうした中、兵庫県域のテレビ局「サンテレビ」で放送された報道・情報番組「キャッチ+ 兵庫県知事選スペシャル」では、同局のキャスターが異例の発言を行ったことが話題になっている。
「オールドメディアの敗北」がXトレンドに
今回の選挙戦では、斎藤氏がパワハラ問題で県議会・百条委員会の証人尋問に呼ばれるまでの経緯をめぐって、ネット上で様々な情報が飛び交った。真偽不明のものも多かったが、それらの情報を元に、各候補の支持者からは激しい非難の応酬が繰り広げられた。
斎藤氏はSNSでの発信に注力し、当選を果たした。若者世代を中心に支持を集めたとされ、投票率は前回・3年前の選挙に比べて14.55ポイント高い55.65%だったという。
SNSでは、メディアへの不信感をあらわにするユーザーの声が目立つ。斎藤氏の当選が確実となった後、Xでは「オールドメディアの敗北」「オールドメディアの終焉」「マスコミ不信」といったワードがトレンド入りした。
「私たちにも反省はあるというのは言えると思います」
ネットの注目を集めているのは、選挙特番で解説を務めた、サンテレビ・藤岡勇貴キャスターの発言だ。
藤岡キャスターは、斎藤氏の当選が確実となった後、「『2人の職員が亡くなった、イコール斎藤さんが原因』という印象を持ってしまうような報道の仕方をしてしまったという反省もあると思います」とマスコミとしての反省を口にした。
職員の死因について「やはり、これは断定はできないんです。だからと言って、プライベートのことが要因なのか。これも断定できない、わからないんですが、『わからない』というのが私は真実かな、と思うんですね」と説明した。
そうした中で斎藤氏の責任をクローズアップしたことに、「皆さんが『なんで(一方的な報道をするの)か』という報道への不信感、それは、こういうことも繋がっていると思う。私たちにも反省はあるというのは言えると思います」とコメントした。
放送局所属のキャスターがこうした発言をすることは極めてまれであり、SNSでは「今更何を言ってやがる! と言いたいところだけど、反省の言葉も出さず"当選はSNS・ネットで支援が広がった為"的な発言の各局・各番組よりは、全然ましだと思う」「結果が出てからなら何とでもいえるけどな それでも反省できるのはえらい」など、一定の評価を示す声も上がった。
「今回民意を見て私自身も反省するところも多く......」
斎藤氏に対しては、情報番組「Mr.サンデー」(フジテレビ系)でも、元兵庫県明石市長の泉房穂氏が謝罪する場面があった。
「私、一面的な見方で、かなり厳しいトーンでこの(選挙期間)間、対応してきたことにつきまして、今回民意を見て私自身も反省するところも多く、お詫び申し上げたいと思います」
中継先の斎藤氏は、二度深くうなずいた。泉氏は「民意を得られたんですから、しっかりと県民のために頑張っていただきたい、という言葉をまずお伝えしたいと思います」とエールを送った。