「自身の裁量で時間や場所等を決めたい」のに、諦めてしまう
J-CASTニュースBiz編集部は、研究顧問として同調査を行い、雇用労働問題に詳しいワークスタイル研究家の川上敬太郎さんに話を聞いた。
――100%仕事に専念できるなら、「フルタイム正社員」で働きたいという人が4.6倍に増えました。この調査結果をズバリ、どう分析しますか。
川上敬太郎さん 働きたいと考える人がどんな雇用形態を望んだとしても、そこには決して良し悪しなどないと思います。フルタイム正社員を望む人もいれば、短時間非正規社員を望む人もいて、希望は個々に尊重されるものです。
そのうえで、フルタイムと短時間合わせて正社員を望む人が多いのは、それだけ主婦・主夫層の中にも、仕事のやりがいやそれに見合った報酬などを求めている人が多いということなのだと思います。
ただ、それらの思いが、家庭との両立という「時間制約の壁」によって抑えられてしまっているということではないでしょうか。
――「年収の壁」より「時間制約の壁」が主婦・主夫層の働き方を制限している主因だというわけですね。
フリーコメントでは、私個人は「趣味が仕事です!と言い切れるぐらい仕事が好き...。主婦も働きたい人はいっぱいいる」という意見に共感しましたが、川上さんはどのコメントが一番響きましたか?
川上敬太郎さん それぞれ響く言葉ばかりですが、中でも印象的だったのが「自身の裁量で時間や場所等を決めたい」という言葉です。逆の言い方をすると、いまは「自身の裁量では時間や場所等を決められない」ということになります。
まさに、「時間制約の壁」が存在していることを示すコメントです。自身の裁量で時間や場所等を決められないことに慣れて当たり前になっていくと、そのこと自体に疑問すら生じなくなり、あきらめの気持ちに支配されてしまう人が少なくないのではないでしょうか。