ベテラン記者「人生の一大事をAI面接官に決めてもらいたいのか」
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査をまとめたマイナビ・キャリアリサーチラボ研究員の朝比奈あかりさんに話を聞いた。
――企業が採用活動にAIを使うことに関して、歓迎する割合が20代では突出して高いですね。40~50代の2倍近いです。この理由は何なのでしょうか?
朝比奈あかりさん 生成AIの利用経験の差が、理由の1つとと考えています。 マイナビの調査では、2025年卒の大学生(現在4年生)の生成AI利用率は6割を超え、昨年より20ポイント以上増加しています。大学生の間で急速に普及していることがうかがえます。
就職活動の場面と就職活動以外の場面の両方に使っている人が3割を超えています。ですから、普段から使い慣れていて、その流れで就職活動にも利用していると推察しています。大学生にとっては、AIは身近存在になりつつあるようです。
その流れが転職活動にも顕著に表れているのです。転職活動中の20~50代に「転職活動時に生成AIを活用した経験」を聞くと、20代では3割以上が転職活動でも使っていました。つまり、自分自身が使って利便性を感じているわけですから、企業側が採用活動に使うことに関して、上の年代よりも抵抗がない可能性があります。
――う~む。しかし、私個人は70代で、就職時や転職時にはしっかりした書類選考や面接試験を何度も受け、面接官と生身の人間同士として対峙してアピールした体験があります。
人生の一大事である転職できるかどうかの判断をAIに任せたいという考え方が、どうも理解できないのですが。
朝比奈あかりさん 調査結果で一番多かった回答は、「感情ではなく、公平に評価してくれそう」でした。つまり、若い世代では「AIの公平性」にポジティブな感情を抱いている人が半数以上おり、多数派だということです。
ただ、多数派ではあるものの、全員が好意的にとらえているわけではないことに注意が必要です。