国や自治体が本格的支援をしないと、全国に「介護難民」が発生
――具体的には、どんなケースの倒産があるのでしょうか。
担当者 東北地方の訪問介護事業A社は、2023年に設立したものの、人手不足や利用者の低迷などで事業が軌道に乗らず、資金繰りが悪化。事業継続の見通しも立たず、設立からわずか1年余りで事業を停止しました。
甲信エリアの介護事業B社は、職員の離職による人手不足で満足するサービスを提供することが困難となり、9月に破産開始決定を受けました。
――やはり、人手不足のダメージが大きいですね。今後、訪問介護業界が生き残るにはどうしたらよいでしょうか。また、今回の調査で特に指摘しておきたいことがありますか。
担当者 小規模の事業者同士の協働やITなどを使った業務の効率化などで、少ない人数で高付加価値のサービスを提供できる仕組み作りが重要と思います。
それには、サービスの実体や地域性などに合わせた価格設定ができるように国や自治体が間に立った支援と現状把握が不可欠と考えます。
今後、小・零細事業者の淘汰が加速する可能性が高いです。このままでは介護事業者の倒産に歯止めがかからず、全国的に『介護難民』が発生する事態が現実味を帯びています。ぜひとも、国や自治体の本格的な指導・支援を求めたいです。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)