年収交渉では「自身がいかに貢献できるか」具体的にアピール
――年収交渉をした人の約9割が年収アップに成功しています。やはり年収交渉はするべきでしょうか。「扱いにくい人間だ」などと思われて、マイナスになる心配はないでしょうか。
瀧川さおりさん 給与に納得感を得られることは、長く仕事をしていくために重要です。そのために、自ら納得できる環境を獲得していく努力の1つとして、年収交渉をすることは大いに妥当性があります。
交渉の際は自身の実績やスキル、業界・職種の平均年収などを参考に、客観性のある金額を提示することがポイントです。交渉を切り出すタイミング、トークスキルは大切なビジネススキルの1つ。場合によっては、年収交渉を通して、ビジネスパーソンとしての評価を得ることもできます。
もし、年収交渉をした際に企業からネガティブな反応が返ってくる場合は、ご自身の評価と企業からの評価がミスマッチしていることになります。そのような環境ですと、入社後もフラストレーションを感じる可能性が高いので、転職を慎重に考えたほうがいいかもしれません。
――なるほど。年収交渉をする際、一番大事な点は何ですか。
瀧川さおりさん 「自身がいかに転職先で貢献できるか」をアピールすることが重要です。ご自身のスキルを万遍なくアピールするよりも、転職先で特に生かせる業務スキル、業務経験を重点的にアピールするとよいでしょう。
営業であれば契約数、目標達成率、社内でのランキングなど、事務系職種であれば、プロジェクトの経験、コストカットや業務改善の経験などを数字で示せると、説得力が出ます。業務で生かせる資格などがある場合は、それもぜひアピールしたいところです。
未経験の職種や業種への転職の場合は、自身の経験のなかから業界や職種が変わっても求められるコミュニケーション力や交渉力、業務の推進力、自ら課題を見つけ改善していく力など、ポータブルスキルが生きた経験をアピールするとよいでしょう。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)
【プロフィール】
瀧川 さおり(たきがわ・さおり)
新聞社、メーカーの企画部門などを経て、2004年にITサービス、翌年にオーガニック製品の会社設立に携わり、2社の役員を兼務。
マイナビ入社後は大手企業専属チームで中途採用や採用ブランディングなどを支援。2024年より総合転職情報サイト『マイナビ転職』の編集長に就任。マイナビ転職公式YouTubeチャンネルや企業向けオンラインセミナーなどで転職や中途採用市場に関する情報を配信中。