あなたは自分が勤める会社の「ミッション」や「ビジョン」「パーパス」を正確にそらんじることができるだろうか。あれは絵に描いた餅だから自分の仕事には関係ない――などと軽視していると、デキる新入社員から冷ややかな目で見られてしまうかもしれない。
ある調査によると、就職活動において企業の「ビジョン」や「ミッション」を「意識する」と答えた人が37.0%。「どちらかというと意識する」と合わせると、3人に2人超(67.4%)にのぼったという。「意識しない(含どちらかというと)」はわずか9.7%だった。
就活生の約7割「パーパスを定める企業に好感」
この調査は、学情が2026年3月卒業の大学生・大学院生から319件の回答を得たもの。就活において企業の「パーパス」や「どのように社会に貢献しようとしているか」を意識するか、という問いには、「意識する」「どちらかというと意識する」が合わせて55.8%となった。
また、「パーパス」を制定する企業は「好感が持てる」と答えた人は38.6%。「どちらかといえば好感が持てる」を合わせると69.0%にものぼっている。
就職活動において「パーパス」を知ると志望度が上がるかと尋ねたところ、「志望度が上がる」「どちらかといえば上がる」を合わせると62.3%に。「志望度は上がらない(含どちらかというと)」は7.8%にとどまった。
企業の「ミッション」とは「企業の使命。何を成し遂げるか」を、「ビジョン」は「企業の成功イメージ。どのような姿を目指すか」を指す。最近注目の「パーパス」は、文字通り「企業の存在理由。社会的意義」を指す言葉だ。
社会人経験の乏しい若者は理想主義的で、歳を重ね経験を増やすごとに現実的になってきれいごとを軽視するようになるのは、いつの時代も同じだ。そんな傾向が調査結果にも反映しているのかもしれない。
とはいえ「パーパス」や「ミッション」「ビジョン」は、大手企業では抽象的で当たり障りのないものを掲げるところが多いものの、中には真剣に考え取り組む企業もあり、今回の調査結果と親和性がありそうだ。
ベンチャー企業の採用支援を行う転職エージェントのAさんによると、特に社会的にインパクトのある事業で大きく成長することを目指すベンチャー企業では「決して絵に描いた餅に終わらせるつもりはない」と考えるところが多いという。
「ベンチャー企業の経営者がよく読んでいるジム・コリンズの『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』(日経BP刊)には、誰をバスに乗せるか、という表現で人材採用の重要性が語られています。パーパスやミッション、ビジョンは、まさにバスに乗せる人を選別するための基準になっているのです」