スマホ縦読み漫画「ウェブトゥーン」 ドラマ・映画化続々で人気高まる...満足度高いアプリは?

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   スマホで縦にスクロールしながら読む、縦ヨミ漫画「ウェブトゥーン」の人気が広がっている。え、あのドラマも、あの映画も原作はウェブトゥーンなの? といったありさまだ。

   分厚い漫画雑誌と違い、スマートフォンがあれば、手軽にいつでもどこでもいくらでも楽しめるコミック(漫画)アプリ・サービス。

   デジタル市場専門の調査会社「MMD研究所」(運営元はMMDLabo、東京都港区)が2024年10月16日に発表した「2024年 WEBTOON(ウェブトゥーン)利用者に関する調査」によると、10代から60代まで全世代にほほ同じ割合で読まれている。

   なぜ、人気があるのか。どのコミックアプリの利用度が高いのか。調査担当者に聞いた。

  • スマホでコミックを読むのが楽しい(写真はイメージ)
    スマホでコミックを読むのが楽しい(写真はイメージ)
  • (図表1)ウェブトゥーンを読んだ経験があるか(MMD研究所の作成)
    (図表1)ウェブトゥーンを読んだ経験があるか(MMD研究所の作成)
  • (図表2)ウェブトゥーンを読むコミックアプリ・サービス(MMD研究所の作成)
    (図表2)ウェブトゥーンを読むコミックアプリ・サービス(MMD研究所の作成)
  • (図表3)ウェブトゥーンの支払い総額(MMD研究所の作成)
    (図表3)ウェブトゥーンの支払い総額(MMD研究所の作成)
  • スマホでコミックを読むのが楽しい(写真はイメージ)
  • (図表1)ウェブトゥーンを読んだ経験があるか(MMD研究所の作成)
  • (図表2)ウェブトゥーンを読むコミックアプリ・サービス(MMD研究所の作成)
  • (図表3)ウェブトゥーンの支払い総額(MMD研究所の作成)

韓国発デジタル漫画...スマホ用に作られ、ビジュアルで迫力満点

   ウェブトゥーン(WEBTOON)は韓国発のデジタル漫画で、WEBとCARTOON(漫画)を組み合わせた造語。従来のコミックアプリの作品は、漫画雑誌の作品がもとになっている場合が多く、横にスクロールしながら読んでいた。

   それに対し、ウェブトゥーンは、最初からスマホ配信を前提に作られるため、各コマが1つずつ縦に並び、単純なコマ割りなのが最大の特徴。ビジュアル重視のフルカラーの絵を各コマの画面いっぱいに表示、画面を縦スクロールしながら短時間で手軽に読めるようにしている。

   途中で音楽やアニメ動画が入ることもあり、迫力満点。スマホの小さな画面でもリッチな読書・視聴体験ができるため、世界的に人気が上昇している。

   MMD研究所の調査(2024年9月19日~22日)は、スマホを所有している18歳~69歳の男女1万5000人が対象。

   まず、コミックアプリ・サービスの利用経験があるかを聞くと、「ある」(38.2%)と答えた人が約4割。利用経験者に、ウェブトゥーンの読書経験を聞くと、「ある」(43.4%)が4割を超えた。これを年代別で見ると、20~30代が約5割、50代~60代でも約4割と、年代を問わず人気が広がっている【図表1】。

   ウェブトゥーンが好きな人は、どのサービスで読むのか。「ピッコマ」(35.0%)の人気が最も高く、次いで「LINEマンガ」(32.4%)、「めちゃコミック」(14.5%)となった。年代別では、10代~20代は「LINEマンガ」、30代は「LINEマンガ」と「ピッコマ」、40代~60代は「ピッコマ」の割合が最も高い【図表2】。

   さて、ウェブトゥーンを読むのにいくら支払っているのか。支払い経験者186人に2024年の支払い総額を聞くと、「1000円~2000円未満」(21.0%)が最も多く、次いで「500円~1000円未満」(17.2%)、「2000円~3000円未満」(11.3%)となった【図表3】。

ウェブトゥーン原作のテレビドラマ、映画が続々登場

   J‐CASTニュースBiz編集部は、MMD研究所の調査担当者に話を聞いた。

――ウェブトゥーンがこれほど各世代に広がっている理由は、ズバリ何でしょうか。

調査担当者 ウェブトゥーンを原作とした映像化作品の増加が大きく影響しています。動画配信サービスの急速な普及とともに、ウェブトゥーンをもとにしたドラマ・映画が次々と制作されています。

有名な作品としては、韓国のテレビドラマ「梨泰院クラス」(日本でも竹内涼真さん主演で「六本木クラス」としてリメイク放映)や、同「女神降臨」(日本でもKoki,さん主演でリメイク映画化が決定)などが挙げられます。

また、日本の漫画ファンにも、ウェブトゥーン特有のテンポの良さや斬新なストーリーテリングが受け入れられやすく、人気に拍車をかける要因となっています。

――ウェブトゥーンを読むサービスですが、世代によって1、2位が「LINEマンガ」と「ピッコマ」と見事に二分されています。また、3位の「めちゃコミ」と「コミックシーモア」がランクインしていますが、それぞれどういう特徴、違いがあるのでしょうか。

調査担当者 「LINEマンガ」は、LINE Digital Frontierが運営する、スマホやタブレットで気軽に漫画作品が楽しめる電子コミックサービスです。「1日1話無料」で人気作品を少しずつ読める仕組みで、人気作の独占配信やオリジナル作品も多く取り扱っています。

「ピッコマ」はカカオピッコマが運営する電子漫画サービス。どんな漫画も待てば「ゼロ円」(1作品を読んでから23時間が経過すると、作品の続きを無料で読める)で楽しめるのがウリです。韓国発の作品が多いのもピッコマの特色です。また、独自のオリジナル作品や独占配信も多く、ここでしか読めない話題作や新作に触れる機会も豊富です。

「コミックシーモア」はNTTソルマーレが運営する145万冊以上の電子書籍が読める国内最大級の電子書籍サイト。「めちゃコミ」は、アムタスが運営する、CM・広告や口コミで評判の国内最大級の電子書籍・漫画ストアです。

「俺だけレベルアップな件」や「女神降臨」のPV数、全世界で6~8億

――それにしても、10代から60代までほぼ同じ割合で人気なのが驚きです。SNSをはじめ多くのスマホサービスでは、10代~20代の利用が突出して多い半面、50~60代が少ないというパターンが一般的ですが。

調査担当者 10代から30代の利用が多いのは、いわゆるデジタルネイティブ世代であることが関係しています。物心ついた頃からデジタルデバイスに触れてきたため、紙よりも電子のほうが親しみやすく、自然に受け入れられているのでしょう。

また、中高年世代でも短時間で視聴可能な映像やコミックは「ひまつぶしメディア」として人気があり、広く浸透しています。特に、フルカラーで縦長のフォーマットがスマホ画面いっぱいに描写されるため目が疲れません。また、週1回の更新、そして1日1回無料で読める仕組みが、多くの世代に支持される理由の1つとなっていると考えています。

――なるほど。ところで、どういうジャンルの人気が高いのでしょうか。

調査担当者 人気のジャンルは、男性が「異世界」「バトル」「転生・回帰・憑依」「ヒーロー、勇者」「成り上がり」、女性では「ラブコメ」「悪役令嬢・悪女」「異世界」「転生・回帰・憑依」「貴族・王室・名家」の順となっています。

最近話題になっているのは、「俺だけレベルアップな件」と「女神降臨」という作品だと思います。ともに韓国の漫画です。「俺だけレベルアップな件」は「異世界」ものですが、累計PVが6億5000万超を記録し、全世界に多くの読者を持っています。今年(2024年)1月にテレビアニメ化されました。

「女神降臨」も英語版だけで660万人の登録者がおり、8億3000万回視聴されているといわれます。外見にコンプレックスを持った少女が、いじめられたくない一心でメイクという武器を身につけ、女神に変身。しかし、ある日、転校してきた謎のイケメンにスッピンがバレて、絶体絶命のピンチに...というストーリーが女性に受けています。

ウェブトゥーンを中心に、動画・ゲーム・ドラマのメディアミックス展開が進む

――なるほど。今後、ウェブトゥーン業界はどう展開していくと考えていますか。

調査担当者 今年5月にはジャンプの縦読みマンガ「ジャンプTOON」のサービスを開始しました。さらに10月、NTTドコモがウェブトゥーンのスタジオを買収するなど、業界では動画やゲーム、ドラマなどのメディアミックス展開が進んでおり、1つの作品がさまざまな形で広がっていくことが楽しみです。

――今回の調査で特に強調しておきたいことや、自分でも面白いと感じたことがありますか。

調査担当者 今年11月1日にも「わかっていても」という作品が、韓国に続き日本でも横浜流星さん主演のテレビドラマ化が発表されたばかりです。ウェブトゥーン原作のドラマ・映画作品が目白押しの状態で、関心がさらに高まっています。

私自身がウェブトゥーンを読み始めたきっかけも、「女神降臨」です。この作品が実写ドラマ化された際、まだ原作が完結していなかったため、結末が気になり読み始めました。

近年、NetflixやAmazonプライム・ビデオ、Huluといった配信サービスや地上波での映像化が進んでおり、オリジナルのウェブトゥーン作品が映画やドラマとして忠実に再現されています。ウェブトゥーンは世界中でファンを増やしており、「ひまつぶしメディア」の1つとして今後も浸透していくのではないでしょうか。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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