プロボクシング元WBA・IBF世界スーパーバンタム級王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン、29)が2024年12月14日に、モナコ・モンテカルロで同級13位リカルド・エスピノサ(メキシコ、27)と暫定王座決定戦に出場することが決まった。
英プロモート社のマッチルームが10月28日(日本時間)に発表した。
アフマダリエフ陣営の狙いは3つ
アフマダリエフはWBA世界スーパーバンタム級1位にランクされており、正規王者で4団体統一王者・井上尚弥(大橋、31)への指名挑戦権を有する。
WBAは、正規王者・井上が指名挑戦者との防衛戦を行っていない状況を考慮し、暫定王座決定戦を設定したとみられる。井上は12月24日に東京・有明アリーナでWBO・IBF世界スーパーバンタム級1位サム・グッドマン(オーストラリア、26)を相手に防衛戦を予定している。
井上の指名挑戦権を保持しながら暫定王座決定戦に臨むアフマダリエフ。陣営の思惑、狙いはどこにあるのか。
J-CASTニュース編集部は、プロモーターとして多くの世界タイトル戦をプロモートしてきたTMKジムの金平桂一郎会長(58)に話を聞いた。
金平会長は、アフマダリエフが暫定王座決定戦に出場する狙いについて、3項目を挙げて、次のように説明した。
「ひとつめは、アピールを含めてWBAの指示に従っています、ということ。だから、我々に井上選手に挑戦する優先権がある、と世間にもアピールしたいのでしょう。2つめは、仮に井上選手がタイトルを返上するなり、階級をフェザー級に上げた場合、アフマダリエフ選手がスーパーバンタム級の正当な王者である、ということをアピールする狙い。そして3つめは、暫定王座の防衛戦を行うことができる、ということ。指名挑戦者のままならば、冠のある試合はできない。そのような興行的なものを考えてのことかもしれません」
「陣営に負けるという発想はないかも」
アフマダリエフは、23年12月に行われたWBA世界スーパーバンタム級挑戦者決定戦に勝利して以来、試合から遠ざかっている。この間、調整試合を行うこともできたが、井上との対戦を待ち続けた。暫定王座決定戦は、約1年ぶりのリングとなる。
金平会長は、暫定王座決定戦で勝利し、暫定王座を獲得すれば、暫定ながらも世界タイトル戦として興行ができると指摘。興行面でいえば、ノンタイトル戦とは異なり、大きなメリットになるという。
一方で、暫定王座決定戦に出場するデメリットがある。
決定戦で負ければ、世界ランクが落ち、井上への挑戦権がなくなる。金平会長は、暫定王座決定戦に臨むアフマダリエフ陣営の心理を、こう読み取った。
「暫定王座決定戦で負ける可能性はあるが、陣営に負けるという発想はないかもしれません。絶対に勝つ自信があるのだと思います。(マーロン)タパレス選手と対戦(23年4月)した時も、負けるとは思っていなかったはず(結果は1-2の判定負けでWBA・IBFスーパーバンタム級王座陥落)。あるいは、いまだに負けたとは思っていないかもしれません」
成績はアフマダリエフが13戦12勝(9KO)1敗、エスピノサが35戦30勝(25KO)4敗1無効試合。