美容、飲食、介護など生活関連業が多い沖縄、山梨、茨城県
J‐CASTニュースBiz編集部は、東京商工リサーチ情報本部の調査担当者に話を聞いた。
――調査開始以来、右肩上がりに女性社長の人数と割合が伸びています。日本社会に女性活躍の動きが浸透してきた喜ばしい証とみられますが、この伸長の背景に課題や問題点はないでしょうか。
たとえば、中小零細企業の後継者難が深刻になり、男性社長の引退や死亡後、やむを得ず奧さんや娘さんが社長になっているケースなどです。
調査担当者 女性社長の増加は、女性活躍推進策が功を奏した結果と考えられます。一例として、官民による女性への起業支援が挙げられます。伸長自体の背景には特に問題を感じておりません。事業承継も後継者のなり手として社会課題の解決に寄与しているものと考えます。
――日本経済の面から、女性社長がこれだけ多くなるメリットにはどんなことが考えられますか。
調査担当者 女性目線での商品開発などでマーケットの活性化が期待できます。また、事業承継の担い手となる選択肢の幅が広がり、後継者難の緩和を期待できます。
――都道府県別の女性社長率の上位ランキングが非常に興味深いです。東京都などの大都会は別にして、沖縄、山梨、茨城県が上位4位にランクインしています。それぞれどういう地元の事情・背景があるのでしょうか。
沖縄県は、よく観光業が盛んだから女性も起業しやすい店が多いなどといわれますが、南国特有の女性が大らかで、面倒見がよく、経営者に向いた県民性といった側面は考えらないでしょうか。4位の茨城県も、群馬県と並び北関東特有の「カカア天下」の県民性が知られています。
調査担当者 都道府県別に女性社長の産業別構成比をみたところ、上位の県は「サービス業他」の構成比が全国(49.4%)より高く、特に沖縄、山梨、茨城の3県は60%を超えています。「サービス業他」には美容や飲食、介護など生活関連から福祉まで幅広い業種が含まれ、女性が事業を手掛けるハードルが低い産業です。
ほかに上位10位に入った大分県、奈良県、広島県は、沖縄県ほど観光需要が高くなくとも、地域住民の需要が手堅い環境にあるのかもしれません。加えて、ご指摘のような県民性や地域性が作用している可能性はありますが、踏み込んだ分析は行っておりませんのでコメントは控えさせていただきます。