山梨県内の富士急行線の電車内で、外国人の男らがダンスをする迷惑行為を撮った動画が物議を醸しており、県警が威力業務妨害などの疑いで立件を検討している。
インバウンド客があふれる中で、神社の鳥居で懸垂するなど、迷惑行為も一部で目立つようだ。こうした行為は、文化の違いもあるが、テーマパークのように日本を考えているのではないかとの指摘も出ている。
米ニューヨークのダンサーグループが、来日して撮影
ドレッドヘアで耳にピアスを着けたラフな服装の黒人の男が、制服の中高生らが座る前で、いきなり仰向けに寝転がる。
男は、生徒らに握手を求めるが、応じてもらえない。
しかし、立ち上がると、ノリノリの様子で踊り出した。そして、隣の車両まで床をスライディングし、ブレイキンのようなアクロバティックな技を始める。
飛び跳ねたり、頭で逆立ちをしたりした後、今度は、フードを被った別の男が踊り出し、イスに座った黒人の女もノリノリだった。
この動画は、2024年10月19日ごろにX上で取り上げられ、車内の様子から富士急行線の電車内と特定され、話題になって拡散した。
実は、この動画は、米ニューヨークのダンサーグループがユーチューブやTikTokなどの動画サイトで投稿していた。グループは、繁華街の路上などで踊る動画を多数投稿しており、日本にもダンスの撮影に来たようだ。
東京・渋谷のスクランブル交差点でブレイキンのようなダンスをしたり、浅草の雷門前でも着物姿で同様なダンスをしたりする動画を投稿していた。人が多い場所だけに、杖を突いた高齢者にぶつかりそうな場面もあった。
グループは、電車内で踊る様子を撮った動画をほかにも上げており、富士急行線の電車内では、上部の金属棒で交互に懸垂をするシーンが映ったものもあった。
ネット上で、こうした動画が拡散して騒ぎになると、富士急行線を運行する富士山麓電気鉄道(山梨県)は23日、乗客による迷惑行為があったとして公式サイトでお知らせを出した。
威力業務妨害、軽犯罪法、県迷惑行為防止条例での立件を検討
そこでは、富士急行線の電車内で、乗客が通路でダンスをする危険で迷惑な行為があったとし、こうした行為は「断じて容認いたしません」と述べた。
富士山麓電気鉄道の総務部が10月25日にJ-CASTニュースの取材に答えたところによると、会社の関係者からSNS上に動画が投稿されていると21日に聞いて、防犯カメラの映像を調べた。
すると、16日19時30分から20時30分にかけて、河口湖駅発大月行の普通電車内で、ダンスをしたり懸垂をしたりする様子が映っていた。SNS投稿の動画もそのときのものではないかと判断し、23日になって、山梨県警の富士吉田署に行って相談した。ユーチューブやTikTokなどSNSの運営に対しては、動画の削除要請を行い、一部で動画が見えなくなったのを確認したという。
また、同社の顧問弁護士に法的措置を取るかどうか検討してもらっているとしている。
富士吉田署は25日、取材に対し、富士山麓電気鉄道から相談を受けていると認めた。防犯カメラの映像提供も受けており、被害が特定できて立件できる場合は、被害届を出してもらうことを検討したいと明かした。男らの容疑としては、威力業務妨害、軽犯罪法違反、県迷惑行為防止条例が考えられるという。
ところで、ダンスグループはなぜ、繁華街で今回のような迷惑行為を繰り返しているのだろうか。
メンバーの1人は、TikTokの投稿動画で、次のように語っていた。
「外野のノイズは無視しろと言っている。自分自身に集中すればいい。周囲のネガティブな声を気にするな。それを気にしていたら、ユーチューブは続けられない。TikTokも同じだ。こんなにフォロワーのいる自分ではなくなるんだよ」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)