「お答えできるような検証はできていません」
山口選手の状況については、どのように対処すればよかったのかを巡り、様々な意見が出て、X上で議論になっている。
「意識障害出てそうでヤバいじゃん...」と心配する声が上がり、名札を下げたスタッフらしき人も2、3人見えたため、「これ救護体制どうなってるんだ?! 明らかにドクターストップレベルだろ」と批判された。
また、声援を送っていた観客に対しても、「なんで誰も助けないの?」などと疑問が出て、「関係者がどこにでもいる訳じゃないし、判断するのは観客」「観客が介助してよいってルールをつくるしかない」といった声さえあった。
その一方で、「観客は止めらんないわよこれは。批判するのはお角ちがい」「失格にしてしまう勇気は一般観客には重すぎる」といった指摘も出ていた。
東京都立川市内の陸上自衛隊立川駐屯地を起点にした10月19日の予選会は、ハーフマラソン約21キロのコースで行われた。この日、東京では、統計史上で最も遅い真夏日で、都心は30度に達した。中継した日テレの解説者が「過去最悪のコンディションじゃないかと思います」と明かすほどの過酷な環境だった。
脱水症状などで倒れるアクシデントが相次ぎ、箱根駅伝の公式サイトによると、選手のうち6人が途中棄権した。
山口選手は、最後の1キロを走るのに14分もかかったが、棄権せずに完走していた。その結果、所属する日大は、全体で7位に入って、箱根駅伝への出場が決まった。
山口選手は、自らのインスタグラムでも、当日中に今回のことをストーリー投稿で報告していた。そこでは、次のようにつづっている。
「12キロすぎから意識がなく救急搬送の後、点滴5本打って生き延びました。チーム、関係者、応援してくださった方々にご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。体の回復に努め、元気な姿で箱根路でリベンジできるよう再度頑張ります」
予選会の競技注意事項などによると、役員以外は、コース内立ち入りが禁じられており、選手は、役員以外から助力を受けてはいけない。救急車を呼ぶときは、一刻を争うとき以外は、大会本部などの許可が必要だとされている。
選手が危険な状態だとみられるときに、スタッフや観客がその場の判断で選手を助けたりすることはどうなのか。あるいは、助けられるようにルールを変えることは考えられるのか。
こうした点について、予選会を主催した関東学生陸上競技連盟の事務局は22日、「お答えできるような検証はできていませんし、個別の取材対応はしていません」とJ-CASTニュースの取材に話した。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)