「リサイクル不可能」とされた素材でも活用できる
プレゼンの冒頭でマルパニ氏は、聴衆にこう問いかけた。
「ポテトチップスの袋はリサイクル不可能とみなされていたことを、皆さんはご存じでしたか」
袋の材料にはプラスチックやアルミニウムが使われている、と話す。チョコレートの包装紙や牛乳パックを含め「リサイクルできない」とされたこうした入れ物は、役目を終えて捨てられた後のリサイクル率が現状では1%以下にとどまっているという。
WITUOUTは、これらの廃棄物から、再利用可能な素材を抽出する技術を開発。それを活用したサングラスを製造、販売するまでに至った。
それにともない、新たな雇用が生まれた。捨てられた袋の収集や、集めた袋の裁断、洗浄といった初期工程の担い手として「ウエイスト・ピッカー」と呼ばれる、ゴミ集積場で金銭になりそうなものを探す人を多く採用したのだ。
危険で低収入だったウエイスト・ピッカーは、それまでよりずっと高額な給料を安定的に手に出来ている。機械操作をはじめ、手に職をつける機会も得られる。
マルパニ氏は、「サングラスの生産で、インドや世界の廃棄物管理の問題を解決するわけではない」と冷静だ。一方で、「リサイクル不可能とされた素材から、高品質のサングラスを作れるというコンセプトを提示することはできました」。
今後、あらゆる廃棄物を高品質な素材に再生させるリサイクルセンターを各地に作ることが目標だ。