日本ボクシングコミッション(JBC)は2024年10月17日、元世界3階級の制覇王者、ジョンリエル・カシメロ(フィリピン、35)に対して1年間の招へい禁止処分を科したことを発表した。
「井上の次戦はおそらくグッドマン」
カシメロは13日に行われた試合の前日計量で体重を超過し、計量失格となった。1回目の計量で1キロオーバーし、2回目の計量では600グラムオーバー。相手陣営は、カシメロが当日計量で58キロをクリアすることを条件に合意し、これをクリアしたためスーパーバンタム級10回戦(横浜武道館)の試合が成立した経緯がある。
試合はカシメロが1回TKO勝ち。カシメロは試合後、改めてスーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋、31)との対戦を熱望したが、JBCに1年間の招へい禁止処分を科されたことなどから、対戦は絶望的な状況にある。
果たしてカシメロは今後、井上と対戦することができるのか。
J-CAST編集部は、プロモーターとして数多くの世界戦をマッチメイクしてきたTMKジムの金平桂一郎会長(58)に話を聞いた。
金平会長は、井上の現状について「他に対戦相手がいなくて、どうしてもカシメロ選手とやらなければならないという状況ではない」と説明し、次のように持論を展開した。
「井上選手にはいろいろと選択肢がある。次戦はおそらく(サム)グッドマンになるでしょうし、来年には(WBCバンタム級王者)中谷(潤人)選手と対戦する可能性もある。決まれば世紀の1戦になるでしょう。カシメロ選手がいくら対戦を熱望しようとも、体重を守れない。極めて不安定な状態にある。そういった意味でも、対井上戦は消滅してしまったと思います」
「体重超過に関しては『またか』という感じ」
カシメロは過去にも計量に関するトラブルを起こしている。IBF世界ライトフライ級王者時代に体重超過で王座をはく奪された。WBOバンタム級王者時代の21年12月には、前日計量をウイルス性胃腸炎のため欠席し、試合は中止となった。
22年4月に再設定されたWBOの防衛戦では、減量のために試合直前にサウナを使用したことが発覚。これが英国ボクシング管理委員会の医療ガイドラインに抵触し、試合はまたも中止に。2度の試合キャンセルを重くみたWBOは、カシメロの王座はく奪を決定した。
このような背景を踏まえ、金平会長は
「体重超過に関しては『またか』という感じ。スタッフはかわいそうかもしれませんが、これは自分たちの責任。計量してオーバーしましたでは話にならない。こればかりはかばいようがない。体重が落ちなかったら、その体重でまた契約をし直さなければならない。そもそもの話です」
と厳しい論調で語った。
そして、プロモーター目線で、こう続けた。
「今回の場合、カシメロ選手が体調を崩していて、うまく減量ができなかったわけではない。現に、計量翌日の試合では元気満々にリングに上がって1回TKO勝ちしている。私がプロモーターなら『ふざけた話だ』と思います。実力のあるヒールは大事かもしれないが、体重を守れないので、試合の1つ前の段階。話にならないと思います」
世界3階級を制覇したカシメロは、17年9月以降負け知らずで、戦績は34勝(23KO)4敗1分。