スマホ「シェア・満足度」調査で楽天モバイル急伸長 どうなる?大手4社の競争激化...今後の戦場は?

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   大手4キャリアのスマホサービスのシェアと満足度はどこが高いのか。

   モバイル専門の市場調査を行うMMD研究所(運営元はMMDLabo、東京都港区)が2024年10月10日に発表した「2024年9月 MNOのシェア・満足度調査」によると、トップ3に君臨している「docomo」「au」「SoftBank」が、シェアで楽天モバイルの追撃を受けている。総合満足度でも抜かれてしまった。

   いったい何が起こっているのか。調査担当者に聞いた。

  • スマホサービス、満足度が高いのは?
    スマホサービス、満足度が高いのは?
  • (図表1)2023年2月~2024年9月、通信キャリア9サービスの利用者の推移(MMD研究所作成)
    (図表1)2023年2月~2024年9月、通信キャリア9サービスの利用者の推移(MMD研究所作成)
  • (図表2)通信キャリア9サービスの総合満足度(MMD研究所作成)
    (図表2)通信キャリア9サービスの総合満足度(MMD研究所作成)
  • スマホサービス、満足度が高いのは?
  • (図表1)2023年2月~2024年9月、通信キャリア9サービスの利用者の推移(MMD研究所作成)
  • (図表2)通信キャリア9サービスの総合満足度(MMD研究所作成)

「満足度」トップ3は、「povo」「LINEMO」「楽天モバイル(MNO)」

   MMD研究所の調査(2024年9月13日~24日)は、スマホを所有している18歳~69歳の男女4万人を対象に予備調査が行われ、その後、各プランのユーザー(300人ずつ計2700人)に本調査が行われた。

   調査対象となったサービスは、携帯電話大手4社の「docomo」(NTTドコモ)、「au」(KDDI)、「SoftBank」(ソフトバンク)、「楽天モバイル(MNO)」(楽天モバイル)と、サブブランドの「ahamo」(NTTドコモ)、「povo」(KDDI)、「UQ mobile」(同)、「LINEMO」(ソフトバンク)、「Y!mobile」(同)の9つだ。

   まず、通信契約しているスマホ所有者3万6509人に、メインで利用している通信サービスを聞いた。大手4社の9サービスを利用しているのは合計90.7%で、残り9.3%がいわゆる「格安スマホ」の「MVNO」だった。

   大手4社9サービス利用者3万3106人に絞り、そのシェアを調べると、1位「docomo」(30.1%)、2位「au」(16.6%)、3位「SoftBank」(11.6%)、4位「Y!mobile」(11.4%)、5位「楽天モバイル(MNO)」(10.2%)、6位「UQ mobile」(9.7%)、7位「ahamo」(6.6%)、8位「povo」(2.5%)、9位「LINEMO」(1.4%)という順になった【図表1】。

   大手3社の「docomo」「au」「SoftBank」がそれぞれ0.5~0.9ポイントほどシェアを減らしたのに対し、「楽天モバイル(MNO)」が1.6ポイントもシェアを伸ばしたことが目立つ。

   ところが、予備調査から9サービスを利用している2700人(各300人ずつ)を抽出して「総合満足度」を聞くと、順位が大きく変わった。

   「満足度」を、「料金部門」(安さ、プランの分かりやすさ)、「サービス部門」(提供端末やオプションプランの豊富さ)、「通信品質部門」(データ通信速度、つながりやすさ)、「顧客サポート部門」(情報の豊富さ、サポート対応の良さ)の4部門で聞き、合計ポイント(1000満点)で「総合満足度」をランキングする。

   すると、意外な結果に。

   満足度1位に、シェア8位の「povo」(757点)が、2位にシェア9位の「LINEMO」(748点)が、そして3位にシェア5位の「楽天モバイル(MNO)」(732点)が入った。

   一方、満足度下位の6位にシェア2位の「au」(669点)、7位にシェア1位の「docomo」(661点)、8位にシェア3位の「SoftBank」(637点)が入った【図表2】。

   つまり、シェア上位3つが、満足度では下位3つにそのまま陥落する逆転劇になったわけだ。これはどういうわけか。

プラチナブランド割り当てが、楽天に大きく恩恵

   J-CASTニュースBiz編集部は、調査を行なったMMD研究所の担当者の話を聞いた。

――調査の最大のトピックスは、大手4社のシェアの中で楽天モバイルのシェアが急上昇したことです。やはり今年(24年)6月、格段にスマホがつながりやすくなる電波のプラチナバンドを割り当てられたことが大きいでしょうか。

担当者 プラチナバンド割り当てにより、消費者の「楽天モバイルはつながりにくい」というマイナスイメージが払拭されつつあるように感じられます。

そのほかにも、これまでに開始されていた新たな割引施策の「最強青春プログラム」「最強こどもプログラム」に加え、9月13日からは「最強シニアプログラム」が始まりました。シニア層にもターゲットを広げています。これにより、さまざまな年代に利用してもらう体制が整えられたとも考えられます。

――シェアトップ3の「docomo」「au」「SoftBank」が、総合満足度ではワースト3になっていますね。これは、どういうことなのでしょうか。

担当者 総合満足度の算出方法として、アンケート時に「料金」「サービス」「通信品質」「顧客サポート」の比重を聞いており、それに沿って点数を算出しています。その際に毎回「料金」の比率が一番高く、料金を評価した場合「docomo」「au」「SoftBank」はほかと比べて高いため、ワースト3となっています。

さまざまな容量帯で、きめ細かいプランを提供する競争

――総合満足度トップ3の「povo」「LINEMO」「楽天モバイル(MNO)」にはどんな魅力があり、評価されたのでしょうか。やはり、安さが決め手でしょうか。

担当者 総合満足度1位になった「povo」は、部門別でみると、顧客サポート部門以外で上位3位に必ず入っています。「povo」は必要な時に必要な分だけトッピングすることで料金が発生します。MNO(通信キャリア)では唯一基本料0円の料金体系をとっていて、コスト削減に最適と考えられます。

「LINEMO」は、LINEを利用した場合にデータ通信料を使用量としてカウントせず、LINE利用時のみ速度制限がかからないサービスを提供しています。日常に必要不可欠であるLINEが使い放題という点、またベストプランという段階性の新料金プランを導入し、従来のコストパフォーマンスはそのままに、さらに柔軟なプラン展開が評価されていると考えられます。

「楽天モバイル(MNO)」は、利用量に応じて料金が変化するワンプランで提供しています。また、最初に挙げた割引プログラムのほかに、楽天経済圏内サービスの併用でよりお得にサービスを利用することができます。料金体系のシンプルさや楽天経済圏との親和性の高さで満足度が上がったと考えられます。

――なるほど。「UQmobile」「LINEMO」「Y!mobile」も微増ですが、着実にシェアが伸びているのはどういう理由からですか。

担当者 「UQ mobile」については2023年11月のKDDIの決算説明会で、高橋誠社長が「UQ mobileは多くの方に中大容量プランをお選びいただいている」とコメントしています。

「LINEMO」は、3GBか20GBのみのプラン設定だったのを、7月30日からは~3GB、~10GB、~20GB、~30GBとさまざまなニーズに合わせた新プランを打ち出しています。

「Y!mobile」は小~中容量帯でプランを展開していますが、プランがシンプルでわかりやすいほか、スマホを初めて持つ人向けの割引もあります。各キャリアともに顧客が求めるサービス提供と競合からの差別化を図っている。こうしたことから、消費者がより自分に合ったサービス選びやすくなっているのだと感じます。

「ahamoショック第2波」がどう波及していくか?

――今後大手4キャリアの競争はどうなるでしょうか。

担当者 最大の注目点は、今後通信業界で通信料金と通信品質で競争が見られることだと考えます。通信料金では、大手4キャリアが提供する経済圏サービスとの親和性がユーザーにとっての「お得感」を創出すると言えます。

通信品質では、楽天モバイルがプラチナバンドの割り当てを受けたことによる他社からの流入が考えられます。顧客ニーズに対する企業の取り組みや、競合との差別化を図る施策など、さまざまな方向からのアプローチ次第で業界の競争が見られるのではないでしょうか。

直近で私が気になっているニュースとして、「ahamo」が10月1日より価格据え置きで、利用可能データ容量を30GBに引き上げた「ahamoショック第2波」があります。この「ahamo」の容量改定は、顧客ニーズに寄り添う取り組みの1つだととらえられます。

同じ料金帯で同じ容量を提供するキャリア各社の差別化を狙った動きにも注目していきたいと思います。

(J-CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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