昨今、空いた時間に、単発の仕事をこなす「スキマバイト」が注目を集めている。スキマバイトサービス「タイミー」では、コンビニや飲食店の店員やデリバリースタッフといった募集が並ぶなか、Xで注目を集めたのは、保育園でのDJという求人だ。
いったいどのような仕事内容だったのか。実際に求人に応募し、保育園でDJをしてきた人に詳しく話を聞いた。
ボカロ以外の場所での「挑戦」のため応募
タイミーの求人に応募し、保育園でDJをしてきたのは、ボーカロイドプロデューサー(ボカロP)やDJとして活動する「んべべ商会」さん。2024年10月4日、保育園でのDJの求人を「面白い」として紹介する投稿をXで引用し、タイミーの仕事完了の画面を投稿すると、3万超の「いいね」が付き話題となった。
現在その求人は閲覧できないが、同じ保育園による新たなDJの求人によると、「こども達にDJのかっこよさと、音楽の素晴らしさを伝えて欲しい」と説明されている。ちなみに、当日の流れとして「タイミーからDJしに来ました!」とインターホンで伝えるよう指示があり、こういったこともXでは笑いを誘っていた。
んべべ商会さんは8日、J-CASTニュースの取材に対し、「友人からタイミーの求人について教えてもらい、興味を持ったことがきっかけだった」と明かした。その時点では、この求人がXで話題となっていたことは、自身も友人も知らなかったという。
保育園でDJという珍しい状況に、「自分はもともと『ボカロ』というジャンルでDJを行ってきたので、それ以外の場所に挑戦をしてみたい」と考え、応募を決めたという。
んべべ商会さんによると、当日、保育園に到着後、名前とともに「タイミーからDJしに来ました!」と伝えると、職員が迎え入れてくれた。簡単な説明の後に機材などを準備し、30分ほどDJをプレイ。ほかにもう1人DJが来ており、交互に音楽をかける「フリーB2B形式」をとったという。
保育園でのDJ「いい経験になった」
当日のセットリストはどうだったのか。んべべ商会さんによると、曲目と順番はこうだ。「夢をかなえてドラえもん」(mao)、「エジソン」(水曜日のカンパネラ)、「アンパンマンのマーチ」(ドリーミング)、「劣等上等」(Giga feat. 鏡音リン・レン)、「ジャンボリミッキー!」、「Bling-Bang-Bang-Born」(Creepy Nuts)。
選曲の理由として、普段からDJをする際は(1)有名な曲、(2)有名かつ踊れる曲、(3)自分の好きな曲――を選んでいると明かす。そこで、今回はこんな構成に。
(1)有名な曲として「夢をかなえてドラえもん」、「エジソン」、「アンパンマンのマーチ」、(2)有名かつ踊れる曲として「ジャンボリミッキー!」、「Bling-Bang-Bang-Born」、(3)自分の好きな曲として「劣等上等」を選んだという。
最初は有名な曲、間に自分の好きな曲、最後に踊れる曲。そんなマイルールを意識しつつ、相手が流した曲の速さに合わせた結果、今回の順番になった。
子どもたちの様子は、飛び跳ねるなどして自由に音楽を楽しんでいたという。曲によって反応は異なったが、知らない曲だから盛り上がらない、というわけではなかった。
例えば、「劣等上等」はメジャー曲ではないが、「リズムが一定で、盛り上がる系の曲なので、子どもたちは(曲を)知らなくても音楽に合わせて飛んだりするなどノッてくれていました」と話した。
んべべ商会さんは、今回のアルバイトについて、「いい経験になった」と振り返る。
「音楽に対してフラットな反応をもらえて、『この曲にこんな反応をもらえるんだ』と新鮮でした。それがすごく楽しかったですし、園児たちもすごく楽しそうでした。特に『ジャンボリミッキー!』の時は保育士さんも一緒になってみんなで踊って。その場が楽しい空間、という感じでした」
んべべ商会さんは、今回の経験を経て、「子どもたちが純粋に音楽を楽しんでくれるから、自分も子どもたちを喜ばせるような曲を作ってみたいなと思いました」と話した。さらに、DJとしても「DJってもっといろいろな場面でできるんだと感じました。今回の保育園に限らず、例えば小学校、中学校、高校などで、音楽の楽しさを伝えることができるのかなと思いました」といい、「今後もいろいろな場面でのDJに挑戦してみたい」と明かした。