若手の希望退職はキャリアアップ、従業員と企業双方にプラスに
――う~む。それぞれの企業と社員にとっては大変な事態ですね。こうした企業の早期希望退職募集の加速は、人材の流動化進展のためには日本経済にとってプラスとみますか、それともマイナスですか。
本間浩介さん 人手不足が喧伝されていますが、人材の流動化は数値だけで短絡的に測れるものではありません。個々人の能力、適性、意欲などの面からも見る必要があります。
大胆に言えば、賃上げが低い、賞与が少ないなど、金額面の不満であれば成長企業で人手が足りない企業に移るメリットはあるでしょう。また、キャリアアップにつながるケースも、従業員と企業の双方にプラスになると思います。
ただ、年齢的に職業分野の選択肢が狭まる中高年の離職は、次の職が見つかりにくく、失業保険などで社会保障面の負担が増えます。欧米のように転職が日常であれば、早期希望退職募集の加速は企業業績にプラスになり、社会的にもメリットが大きくなりますが、日本ではまだ転職市場の評価が曖昧なだけにマイナスの側面が強く出るかもしれません。
――今回の調査で特に指摘しておきたいことがありますか。
本間浩介さん 構造改革で成長分野以外の人員削減が目立ちますが、人員削減は優秀な人材流出というリスクも抱えています。また、同僚の退職はモチベーション低下を招くかもしれません。
人員削減は複雑な状況を招きかねないリスクを考えるべきでしょう。また、対象者の生活を支えることにも配慮し、従業員へ特別退職金の支給や再就職支援など、きめ細やかな支援を一層強化すべきと思います。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)