転職前のリスキリングで年収アップを実現 採用担当者が助言「求人から必要な資格を逆算して」

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   自民党総裁選で小泉進次郎氏が言及した「リスキリング」。解雇規制見直しの一環として、大企業が整理解雇を行う際の4要件のひとつ「解雇回避努力義務」に、リスキリング(資格の取得や学び直し)と再就職支援を新たに加えるという提案だった。

   これにより、労働者に対して成長産業への転職を促すものだったが、果たして効果はあるのだろうか。ある調査によると、転職活動に際して「リスキリング」を実施したところ、「面接や書類選考で有利に働いた」「年収が増加した」と答えた人が多数を占めたという結果が出ている。

  • 転職で年収アップするには(写真はイメージ)
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マーケティングの資格取得で年収アップ8割超

   この調査は学研のスキルアップ研究所が、転職前にリスキリングを経験した20~50代の社会人100人を対象に行ったものだ。取得した資格やスキルがどのように転職活動に役立ったか尋ねたところ「面接や書類選考で有利に働いた」と答えた人が41%を占めた。

   「採用の決め手となった」と答えた13%と合わせると、採用にポジティブな効果があった人が過半数にのぼる結果に。「転職後の業務で即戦力となった」と答えた人も20%おり、「関連性が薄く、あまり役立たなかった」と答えた人は25%にとどまった。

   リスキリング後の転職で「年収が増加した」と答えた人の割合が、最も高かったのは「マーケティング」のリスキリングに取り組んだ人たち。転職前より50万円以上100万円未満増加した人が47.5%、50万円未満増加した人が36.7%で、合わせて84.2%にのぼった。

   次いで、年収増の割合が高かったのは「データ分析」。50万円~100万円未満増加した人と、50万円未満増加した人がそれぞれ37.5%、合わせて75.0%だった。

   「ITリテラシー」のリスキリングに取り組んだ人たちの中には、転職前より100万円以上増加した人が20.7%もいた。50万円以上100万円未満増加した人が20.7%、50万円未満の増加だった人が30.1%で、合わせて71.5%となっている。

   一方、年収増の割合が低かったのが「英語」のリスキリングで、100万円以上増加した人が4.5%いたものの、50万円以上100万円未満増加した人が27.3%、50万円未満の増加だった人はおらず、合わせて31.8%にとどまった。

   都内のIT企業で採用を担当するAさんは「採用現場の感覚と非常に近い結果」と頷き、リスキリングのコツについてコメントを寄せてくれた。

「英語を必要とする仕事はありますが、英語だけでは採用されにくいんですよね。それに、無目的に英語を勉強しても、キャリアアップにはつながらない。資格取得や学び直しをキャリアアップに最もつなげやすいやり方は、自分が入りたい会社の求人を見て、そこに書かれている要件から必要なリスキリングを逆算することです」

「資格取得後は副業でもいいから実務経験を」

   Aさんによれば、求人情報の中には「必須要件」「歓迎要件」として資格名が書かれていることがあるという。

「調査結果で『リスキリングで年収が増えた』と答えた人の割合が最も高かったマーケティングでは、『ウェブ解析士』や『IMA検定』などの資格名をあげて『デジタルマーケティングに関わる資格をお持ちの方』を応募要件としている求人があります」

   選考にあたっては、やはり実務経験の有無の影響が大きく、それなりの規模の企業やサービスで実績をあげていれば十分だ。しかし、未経験だったり経験が浅かったりした場合には、資格の有無が採用の決め手になる場合が多いそうだ。

   他にも、ITエンジニア部門であれば「情報処理技術者試験」やプログラミング言語関連資格、「AWS認定資格」などクラウド関連資格、「CISSP」など情報セキュリティ関連の資格、データ分析部門であれば「統計検定」「データベーススペシャリスト試験」「統計士」「データ解析士」などの資格があるという。

   Aさんは、転職前に資格取得するうえで3点、注意を呼びかける。

「1つ目は、求人に関係ない資格をたくさん並べないこと。これは採用担当者を戸惑わせるだけで、資格マニアは現場で歓迎されません。2つ目は、資格は応募要件でしかなく、取得すれば必ず採用されるわけではないということ。3つ目もそれと関係しますが、資格取得とともに、副業でいいから、少しでも実務経験をしておくと評価が大きく変わるということです」

   また、あまりにも難関の資格を目指し、その勉強に時間や労力を掛けすぎて疲弊しても意味がないのは言うまでもない。Aさんは「特にITやデジタルの領域は、勉強やトレーニングが合理的に体系化されているのでキャリアチェンジがしやすい」ので、まずは求人をチェックしてみることをおすすめしたいという。

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