店舗の閉鎖が相次ぐイトーヨーカドー。そのさなか、親会社のセブン&アイ・ホールディングス(HD)が、投資ファンドにスーパー部門の売却を検討していると複数のメディアが報じた。
1920(大正9)年、東京・浅草に「羊華堂」として誕生以来、100年以上の歴史を持つ総合スーパーの名が、消えてしまう日が来るのか。
津田沼店、弘前店、上板橋店が
イトーヨーカドー津田沼店(千葉県習志野市)と弘前店(青森県弘前市)が2024年9月29日、営業を終了した。それぞれ46年、47年と半世紀近くの歴史に幕を下ろした。両店とも、終業時間には店の前に多くの人が詰めかけ、スマートフォンで写真を撮るなどして別れを惜しんだ。
この日は、上板橋店(東京都板橋区)も最終営業日だった。
こうした光景は最近、毎月のように全国のどこかで見られる。イトーヨーカドーは26年3月までに33店舗の閉鎖が決まって、「閉店ラッシュ」の真っ最中なのだ。
さらにセブン&アイHDは、イトーヨーカドーなど傘下のスーパー事業を売却する方向だと報じられた。ただ、「過半数の株式を売却する方針」(日本経済新聞電子版、10月4日付)、「一部売却」(東京新聞電子版、同)と、報道には濃淡がある。売却先候補として海外ファンドがあがっているとも伝えられた(読売新聞電子版、同)。
セブン&アイHDを巡っては8月、カナダのコンビニ大手「アリマンタシォン・クシュタール」が買収提案を表明。その額は6兆円とも言われるが、セブン&アイ側は9月、これを拒否した。
イトーヨーカドーなどスーパー事業は、4年連続の赤字。セブン&アイHDとしては早期にこれを売却して企業価値を高め、さらなる買収提案に対抗するねらいがあるようだ。