子どものスマホ利用について、親の心配事ナンバーワンはSNSで誰とつながっているかわからないことだ。
そんななか、NTTドコモの研究機関、モバイル社会研究所(東京都千代田区)が2024年9月26日に発表した「【子ども】中学生の3人に2人がSNSを利用し、人とのつながりが変わったと実感」によると、中学生が親の知らないところで、どんどん交友世界を広げている。
親は子どもとどう接し、どう見守ったらよいのか。調査担当者に聞いた。
「SNSの利用で、より仲良くなった」「実際に初めて会った」
モバイル社会研究所の調査(2023年11月)は、関東1都6県の小学生および中学生とその親600人が対象だ。
小中学生の63%がSNS(LINE・Instagram・TikTok・X)を利用しているが、SNSを利用したことで人とのつながりに変化があったかを聞くと、中学生で3人に2人が「あった」と答えた【図表1】。
具体的にどのようなことがあったかを聞いたのが【図表2】だ。中学生の約半数が、「(SNS利用前から友人・知人で)SNSを利用したことで、よりつながりが深まった(仲良くなった)」と答えている。また、実際に会い、友人や知人になった中学生は男子で9%、女子で16%いた。
最後に、SNSによって「人とのつながりがより深まった」「SNSがきっかけで実際に会い、友人や知人となった」と答えた中学生について、普段からリアルな友人の多さとの関係を合わせて見たのが【図表3】だ。SNSを利用し、人とのつながりに変化がある子どものほうが、友人が多い傾向だった。
これは、どういうことを意味しているのだろうか。
子どもの交友関係にとって、SNSが欠かせない存在に
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を行なったモバイル社会研究所の水野一成さん(子ども・シニア・防災調査担当)に話を聞いた。
――中学生がSNSを通じて、人とのつながりを深めていることがわかる調査です。【図表2】の「どのようなことがあったか」の回答ですが、「よりつながりが深まった(仲良くなった)」が一番多く、次に「(進級等でも)関係が切れにくくなった」「さまざまな人と関わるようになった」が続きます。
ズバリ聞きますが、こうした回答結果は一見、子どもの交友の世界が広がり、非常に好ましい風に思えますが、親としては安心していいのでしょうか。
水野一成さん 親の心配・安心に関係することは言及できません。しかしこの結果から、子どもたちの交友関係にとって、SNSが欠かせない存在になっていることを認識することが大切ではないでしょうか。
――しかし、【図表2】では女子のほうが男子より「実際に会い、友人・知人になった」という割合が2倍近く高いことが気になります。
水野一成さん 今回の調査は「実際に会い、友人・知人になった」と聞いていますので、友人・知人にならなくても、SNSを通じて会った経験がある子は最も多いと思われます。
交友関係を広げる意味ではプラスの一面もあると思いますが、やはりSNSに関連する犯罪が増加傾向にあることを見ても、マイナス面もしっかり見なくてはいけません。
――たとえば、どう見ればよいのでしょうか。
水野一成さん まず、これだけ多くの子がSNSを通じて、交友関係を広げている実態を知ってほしいと思います。
家庭ではなかなか話し合うことが難しい年ごろかもしれませんが、「利用実態を聞く」「SNSの危険性を伝える」「親子スマホ利用ルールを見直す」ことが大切です。また、フィルタリングなどの「ペアレンタル・コントロールを見直す」といったことも合わせて検討してほしいです。
リアルな友人が多い・少ないに関係なく、SNS上での友人が広がる
――【図表3】の調査ですが、これは「SNSによって人とのつながりに変化あった子は、普段からリアルな友人が多い」ことを示すと思われますが、この結果の意味することは何でしょうか。それだけ、交友関係に繊細、あるいは積極的で、友だちを求めているということでしょうか。
水野一成さん 今回、重要なのはリアルな友人が少ない子どもがSNS上で友人を作っているだけではないことが明らかになったことです。リアルな友人が多い子どもでも、SNS上で友人を作っているわけですから。
親御さんには、リアルな友人が多い・少ないに関係なく、SNS上での友人が広がっている可能性があることを、ぜひ知ってほしいです。
――今後、中学生のSNSはどう変化していくでしょうか。今回の調査で特に強調しておきたことがありますか。
水野一成さん 小中学生のSNSの利用は上昇傾向にあります。SNSの中には年齢制限があるものがありますが、現状これだけ多くの子どもが利用しています。そして、今回の調査結果が示すとおり、多くの子がSNSで交友関係を広げています。その中には、SNSがきっかけに会った子どもいます。
その現状をしっかり認識し、子どもたちにはそこに潜む危険性を知るなど、リテラシーが向上するよう、多方面(社会・家庭・教育現場)で取り組んでいく必要性があると感じます。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)