上昇の背景は、各社が基本給引き上げに踏み切ったこと
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を担当した労務行政研究所『労政時報』編集部の橋本拓巳さんに話を聞いた。
――1970年の調査開始以来の過去最高額とありますが、ズバリ、これほど高いボーナスとなった理由は何でしょうか。
橋本拓巳さん 冬のボーナス支給水準が高まっている背景には、物価上昇対策や採用競争力の強化、社員のモチベーションアップをねらいに、各社が基本給の引き上げに踏み切っていることが、原因の一つとして挙げられるかと思います。
厚生労働省「令和6年民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」によれば、民間主要企業348社における春季賃上げの平均妥結額は1万7415円(前年1万1245円)、賃上げ率は5.33%(同3.60%)となり、賃上げ額・賃上げ率ともに昨年を大きく上回っています。
――個別の産業別をみると、「電力」(対前年比11.2%増)、「紙・パルプ」(同9.4%増)などが突出して高い一方、「非鉄・金属」(同1.3%減)のように減っている業種もあります。それぞれどういう理由からでしょうか。
橋本拓巳さん 大変恐れ入りますが、個別業種の増減については、回答を控えさせてください。集計の都合で、多い業種でも数十社、少ないと数社となっています。その関係で、分析が困難という事情があります。
――今後、東証プライムを含めた上場企業の冬のボーナス状況はどうなっていくと予想しますか。
橋本拓巳さん 好調な企業業績、高止まりする物価動向、人手不足などを背景に、2024年冬季一時金も堅調に増加するのではないかと考えております。
――今回の調査で特に強調しておきたいことがありますか。
橋本拓巳さん とにかく、「1970年の調査開始以来の過去最高額」という点に尽きます。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)